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ひとりきり
「欲しいなら、あげますけど…それで?どうしたいんですか?俺の仕事は?」
祐斗はつかつかと近寄り、財布を掴んだ。中身を確認して、ポケットに突っ込んだ。そして、机にあるメモ書きを吉岡の方に押しやった。
むつは祐斗の様子を見て、少し笑っていた。それを西原が肘で、むつの横っ腹をつついて諌めた。
吉岡は首を傾げるばかりで、何も言わない。むつが祐斗に宛てたメモも大切そうに持つと、ふらふらと立ち上がりどこかへ行ってしまった。傍らに立っていた吉岡は、会釈をすると後を追うように部屋から出ていった。主が居なくなったからか、すっと暗くなった。
「むつさん‼何なんですかこれ」
ペンライトをつけたむつが、肩をすくめた。
「腑に落ちない?」
「そりゃそうですよ‼俺は何したら良いんですか?」
「まぁご飯でも食べる?帰るよ」
何があって、どうなったのか全然分からないまま、祐斗は初仕事を終えたようだった。
「ほら、西原先輩も。こんなきったない所、さっさと出よ。埃っぽくて嫌だ」
マスクごしにむつは文句も言った。そして、祐斗を引きずるようにして家から出た。




