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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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あまいゆうわく

暖房を強めにしてから、むつ、菜々、こさめは順番に入らずに3人で広くはない風呂場に向かった。シャワーを浴びつつ、湯船にもお湯をどばどばと勢いよく溜めていく。


「ちょ…むつ‼何その怪我!!」


「…大変な仕事だったのよ」


首の咬み痕といい肩付近が赤黒くなっているし、あちこち傷だらけのむつの身体を見て、菜々は驚いていた。


「だから、一緒にお風呂は嫌だって昨日言ったの。今は、今すぐにでも流したいからね…もう仕方ない」


頭からお湯をかぶったむつは、茶色い液体が排水溝に流れていくのを見ていた。


「こさめ、猫に戻って。狭いから」


「はーい。じゃあ洗ってね」


「そのつもり。毛が短くなった分だけ楽だわ」


むつは泡立てたシャンプーで、こさめの身体をわしわしと洗っていく。その間に、菜々は自分の髪の毛を洗っていた。今日のメイクは薄くて良かったと思いながら、顔もばしゃばしゃと洗った。


「菜々、ごめん…あたしの髪の毛を洗って」


「はいはい。こさめさん終わったら、後ろ見てくれる?流れたかしら?」


こさめを洗い終えたむつは、桶にお湯を入れてこさめを放り込んだ。湯船にこさめだけを入れるのは、さすがに危ない。こさめもそれを分かっていてか、文句は言わなかった。


髪の毛も顔も身体も、たっぷりの泡で洗ったむつと菜々は、一緒に湯船に入った。広くはないから、2人は横並びで膝を抱えるようにしている。


「暖かい…」


「冷え症だもんね。それにしても、何で急にあんな事になったのかしら?」


「…菜々の怪奇超常的な料理の腕前が確認された瞬間に立ち会えて嬉しかった」


「こさめさんまで…」


「こさめのその言い方、篠田さんっぽーい」


きゃあきゃあと笑い合いながら、3人はシャボンの香りがいっぱいの風呂場でゆっくりと身体を暖めた。

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