ごじつ
「…何でそんな事になってたんだ?」
むつは困ったように笑みを浮かべ、言い出しにくい事なのか、なかなか言おうとはしない。はぁと深い溜め息が聞こえてくると、西原は自分が鈍感すぎると呆れられている気がした。
『先輩ってね、1回死んでるでしょ?お地蔵様の時…あたしをかばってくれて』
少し前の出来事の話が出てくると、西原は曖昧に頷いた。1度、死んでいると言われても西原には、そんな自覚はない。ただ、自分の為にむつがわんわんと泣いていたのを、ぼんやり見ていた気がするだけだ。だが、むつも含めたその場に居た者たちがそう言うのだから、そうなのだろうと思っていた。
『その時、お地蔵の手で魂を身体に戻したんだけど…1回外に出た物を器に戻しても、すぐ馴染まない事があるようにね、先輩の身体と魂も完全に馴染んでるわけじゃないみたいでね。身体を欲しがってるのが、寄ってきちゃったみたいなの』
「それで片車輪が来てたのか?」
『うん…祐斗1人じゃ心細かったと思うし。あたしも電話越しじゃ余計に何も出来なくて。呼んで来いってあたしが言ったの』
「そうだったのか。それで…」
『とりあえず、は大丈夫だと思うよ。代わりになる物を置いとくから、持っててね』
「代わり?何の代わりになる物なんだ?」
『鈴。百鬼夜行の時に鈴無くなっちゃったでしょ?あれもさ特別な物だもん…今まで先輩を守ってくれてたんだと思うよ。でも、無いから百鬼夜行で会ったあたしの人形を側に置いといて。きっとあたしの代わりに先輩を守ってくれるよ』




