ごじつ
「眠そうだな?久しぶりの実家で夜更かしだったのか?」
『もう…誰のせいで寝てないと思ってるのよ』
「え?」
『先輩の事を考えてて寝てないの』
自分の事を考えてて寝てないと言われ、西原はどきっとした。むつの口から、そんな言葉が出るなんて思わず、どう反応したらいいのか分からない。
『朝、祐斗から何も聞いてないでしょ?』
「え?え?な、何も…」
祐斗にむつは何かを話していたのか、それよりも祐斗が泊まった事を知っているような口ぶりに西原は、戸惑いを隠せなかった。
『何も話してないので、って連絡きたし…全く仕方ないわね。祐斗が最後までしなきゃいけないのにさ』
ぶちぶちと文句を言っているが、その言い方は本気ではないようで、どこか楽しそうな響きさえ含んでいた。
『片車輪とは会った?』
「あ、あぁ…お前何でそんな事知ってるんだ?祐斗君から聞いたのか?」
『ってよりも、夜中に祐斗から電話があってね、あたしが片車輪を呼びに行かせたの』
「………?」
画面に写っているむつは、少し困ったような顔をして首を傾げている。そんな反応の意味が西原には、さっぱりと分からない。だが、今朝の祐斗の反応や片車輪が居た事から、何かがあったんだとは推測出来ていた。
『…簡単に言っちゃうと、身体を欲しがってた沢山の人魂が先輩にたかってたって事なんだけどね』
「…はぁ?」
意味が分からないという顔の西原に、むつは苦笑いを浮かべるしかないという感じで、ふぅと溜め息をついてみせた。




