ごじつ
『何でこの子が、あたしの手を離れちゃったのか分からない…けど、役目ってあるでしょ?この子の今の役目は、あたしの代わりになる事。あたしの代わりに先輩の身を守る事だから』
「役目が終わったら、ただの人形に戻るんでしょうか?消えていく憑喪神たちみたいに」
『…かもね』
悩んだのか寂しく思ったのか、むつの反応はいまいち分からなかった。ビデオ通話をしているから、むつの顔は見えているがその表情からは何も読み取れない。むつのポーカーフェイスを見破るのは、祐斗にはまだ難しかった。
『まぁ…後はうちの子に任せても大丈夫じゃないかな?祐斗の所じゃ活躍の機会なくても先輩の所でなら活躍出来るだろうし』
「うちに居るよりはいいって事ですね」
『たぶんね。さて、と…うち明日ってか今日はさ、お餅つきでね忙しいの。寝る…時間はなさそうね。早いけど準備始めるわね』
「…え?」
「むつちゃん、この状況どないすんねん」
『後は祐斗に任せるわよ。じゃあ、また来年ね。あ、いい年をお過ごしくださーい。片車輪も、ありがとうね。またねーっ』
もう飽きてしまった子供のように、むつはそう言うと、大きな欠伸をしながらひらひらと手を振って電話を切ってしまった。




