ごじつ
「からだ…からだをよこせ?」
聞き取った言葉を祐斗が呟くように言うと、片車輪は険しい表情を浮かべて頷いた。
「…え?むつさん?どういう事ですか?こいつら、身体を欲しがってますけど…それって西原さんの身体をって事ですか?」
『そういう事。先輩を起こしてって頼んだ時に祐斗、携帯をベッドに置いたでしょ?その時に声が聞き取れたの…』
「何で先に言わないんですか!?西原さんが危険じゃないですか!!」
『祐斗だけでも危険。彼らの狙いは先輩の身体だもん。それだけ執着して来てるってなると、引き離すのは難しい。だから片車輪に来て貰って、自分の目で視て貰ってからと思ったの…こんなに増えてるなんて思わなかった』
「で?目的は分かったけどやな…何でまた西原君が狙われるんや?」
『先輩はね…1回死んでる身なの。魂を定着させたとは言っても、普通の人とは少し違ってるんだと思う…たぶん、身体と魂との間に隙間があるっていうか…まだ完全には馴染んでないのかもしれない。だから、その隙をつくように人魂が寄ってきちゃったんだと思う』
「だから、入り込もうとしたのが居るって事ですか?でも…そしたら西原さん…」
『死ぬわね』
「そんな…あっさり…」
『方法として思い付くのは、先輩を起こす事。それと人魂を蹴散らす事…寝てる間って意識がないから、付け入られやすいんだと思う』
「蹴散らすんは簡単や。わしに出来る…せやけど、それを毎日するってなると…西原君にも負担かかるやろうな」
『うん…』
「西原さんの身を守ってくるようなお守りとかありませんか?そういうのがあれば…むつさんの札とか…」
『今のあたしのじゃ効き目ないわよ』




