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ひとりきり
ビルから出るとむつは駐車場に向かって行った。駅に向かわない事に、祐斗は不思議に思っていた。
「乗って」
「え…車買ったんすか?」
「まさか、まさか。会社の、知らなかった?」
「知らなかったっす。だって、出張の時、湯野さんの車だったりしたじゃないですか」
「いつも社長が自分用に使っちゃってるからね。今回は置いてって貰ったの、電車のが楽だけど終電逃したら面倒でしょ?」
運転席に乗ったむつは、座席を調節している。祐斗もさっさと乗り込むと、シートベルトをした。
「目通しときな」
後部座席から茶色の封筒を取ったむつは、投げるようにして祐斗の膝に置いた。少し雑なのは、はやり怒っているからなのか、祐斗はさっそく封筒を開けた。
中に入っていたのは、A4の用紙だった。パソコンで打ったのではなく、むつの殴り書きのようなメモだった。




