ひとりきり
むつもソファーに座り、コーヒーを飲んだ。
「さて、昨日の事は全部話して貰おうかな?全部だよ?全部」
全部と念をおして言われ、祐斗は小さくはいと返事をした。そして、言われた通り昨日の出来事は全部事細かく話した。
その間、むつは合図ちを打つのみで他には何も言わなかった。時折、首を傾げたりしていた。吉岡に押し倒された事に対して、大して反応もなく祐斗は少しほっとした。西原だけは、くっと笑いを堪えられなかったように笑っていた。
一通り話し終えた祐斗は、怖怖とむつの顔を見た。むつは、いつもと変わらない顔をしていた。
「ん、分かった。いくつか気になる事があるんだけど…先ず」
むつはそこで、言葉を切った。
「祐斗と西原先輩は、いつからそんなに仲良しになったの?送って来てくれたうえに、祐斗を心配して影から見守ってる程に」
「えーっと…それは」
祐斗は言いにくそうに、西原の方を見た。だが、西原は何も言わずに居た。
「ヘッドフィギュアの時に、ちょっと色々相談にのって貰って…で、今もその…」
「その?ま、言いにくいならいいや。祐斗、あんた今日授業は?」
「あ、はい。午後からあります」
急に話題が変わり、祐斗は変な緊張を感じた。




