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白鳥学園

5/18 76位とランキングに入っていました。

ありがとうございます。

これからも不定期ですが更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。


 魔法陣の光が収まると、比呂ひろ達の目の前には巨大な建物があった。

 これが、比呂達の通う『白鳥学園』である。

 広大な面積を有するこの学園は、『ガルガンディア』からの留学生も通うことの出来る学園であり、その割合は3割ほどである。

 また、カリキュラムも普通の学校には無い、魔法の授業に重点を置いている点が特徴的である。



 比呂とつぐみは学年が違うので、魔法陣の前で別れ、それぞれの学年に割り振られた下駄箱で下足から上履きに履き替えることになった。

 比呂は、上履きに履き替えると知った顔があったので、挨拶をした。



「おはよう、霧華きりか


「おはよう、急がないと遅刻するぞ?」



 比呂が話しかけたのは、長い艶やかな黒髪をポニーテールで結んだ、大和撫子然とした美少女『倉科霧華くらしなきりか』である。

 予想は付いているかもしれないが、『白鳥学園三大美女』の一人である。



「今日も剣道の朝練?」


「ああ、一日でも怠ると剣筋が鈍るからな。比呂は寝坊か?」


「いや、ちょっと色々あって...はは」



 やはり父親の言ったことは言えないので、比呂は笑って誤魔化した。



「詳しいことは後だ。早く教室に行かないと雨宮あまみや先生に怒られるぞ?比呂は特別に目を付けられてるからな」


「あの人、容赦がないからな...」



 二人は駆け足で教室に向かった。




 二人が教室に着くと、いくつか空席が目につくものの、ほとんどの生徒が席に着いていた。



「倉科は朝練だからいいとして、五十嵐いがらし、お前ははどうしたんだ?」



 教室に入って早々、教壇の前に居た幼女・・が比呂達に話しかけてきた。



「せ、先生、まだ遅刻じゃないですよね?」


「ああ、まだ30秒ある。しかし、出席は席に着いて初めて出席だ。早く理由を述べないと遅刻・・になってしまうぞ?」



 ニヤリと幼女に似つかわしくない笑みを浮かべた。



「そ、それは...」


「何だ、言えない事でもしていたのか?寝坊なら寝坊といえば良いだろう」


「ね、寝坊です...」


「...五十嵐いがらし、お前、嘘が下手くそ過ぎるだろ」



 比呂は諦めて本当のことを言うことにした。



「父から電話がありまして、それの対応に時間を取られました」


「ちゃんとした理由があるじゃないか。私はてっきり、学校では言えないようなやましいことをしていたのかと思っていたぞ」


(そうか、内容は伝えなくて良かったんだ)



 そういうとこは抜けている比呂であった。

 そう考えながら、比呂は席に着いた。



「さて、ホームルームを始めるぞ。連絡事項として、来週から始まる体育祭のメンバーを今日中に決めておけ。学級委員の五十嵐と倉科は、男女それぞれの種目をまとめたものを私に提出しろ。以上だ」



 そう言い残し、雨宮先生もとい幼女先生は教室を出ていった。



「体育祭、楽しみだよな。何と言っても授業が無いのがいい!」



 ガッツポーズをしながら比呂に話しかけてきたのは、隣の席の『町場健太まちばけんた』である。



「健太は授業が無ければ何でもいいんじゃないの?」


「馬鹿言うなよ、体育祭も楽しみだぜ。優勝賞品も魅力的だしな」


「そんなにガルガンディアに行きたいの?」



 そう、体育祭で優勝したクラスには特別研修と題して、異世界ガルガンディアへ行くことが出来るのだ。

 


「そりゃ勿論。あっちにはエルフの綺麗なお姉さんや獣耳の可愛い女の子がたくさんいるんだぜ?男のロマンってもんさ」


「そういうものなのか」


「お前は周りに美人が勢揃いだから分かんねぇんだよ!」



 健太は血の涙を流しながら、比呂の襟を掴んで持ち上げた。

 それと同時に最初の授業の担当教師が入ってきた。



「はい、席に着いてください。町場君、君は何をやってるのかな?」



 ニコニコと笑顔だが目の笑っていないツグ姉こと加藤鶫かとうつぐみであった。

 何故、つぐみがここにいるのかというと、白鳥学園の教師数の問題であった。授業数に対して、教師の人数が足りないのだ。数学などの基本科目の担当教師は補充可能だが、魔法関連の科目となるとそうはいかない。教えられるほどの知識を持った者が少ないのだ。そこで、成績優秀な上級生が下級生に講義を開くというのが白鳥学園の風習となっている。上級生は復習と給料を、下級生は気軽に質問できるという風にwin-winな関係である。

 特に、『白鳥学園三大美女』の一人である鶫の授業は、分かりやすく目の保養になると、男女両者から人気を得ている。



「鶫様、これはですね...」


「君に名前で呼ばれる筋合いはないよね?私、今は先生だよ?お仕置きされたいのかな?」


「はい、ぜひお願いします!」



 健太は綺麗に直立し、元気良く叫んだ。

 クラスの女子は冷ややかな視線を、男子は羨ましそうな視線を健太に向けていた。



「加藤先生、授業始めませんか?時間が無くなってしまいます」



 比呂は普段の呼び方ではなく、学校での呼び方で鶫を呼んだ。

 呼ばれた当の本人は誰にも聞こえない声で「比呂君に先生と呼ばれるの、すごく良い!」と身悶みもだえていた。



「そ、そうね。早速授業を始めましょう。町場君はそのまま授業を受けること」


「ありがとうございます!」



 女子は無視、男子は指をくわえて健太を見ていた。



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