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破裂!?

読んでいただけると幸いです。


 目を覚ますと、見慣れた顔がにあった。



「おはようございます、坊ちゃま。ご飯にしますか?シャワーにしますか?それとも、わ・た・し?」



 このやり取り、毎朝のことなので無視をした。



「ご飯でお願い。女体盛りとかは無しで」


「流石坊ちゃま。私の考えていることなどお見通しなのですね」


「分かりたくないよ...」



 このメイド、ちゃんと言わないと隙をついたようにエロをぶっこんで来る。

 最近では弁当の内容を伝えなかっただけで、自分を器用に縛り、白米片手に「私をおかずとした特製弁当です」と玄関で待機していた。まあ、そのままスルーしたが...



「しかし、美女が同じ布団で眠っているというのに手を出す素振りも見せませんね」


「姉弟みたいなもんなんだから出す訳ないでしょ、ツグ姉」



 このメイド服を着た美女の名前は加藤鶫かとうつぐみ。親父の知り合いの一人娘で、進学を機に、俺、五十嵐比呂いがらしひろの家で一緒に住み始めた。しかし、程なくして俺の両親とツグ姉の両親で共に旅行・・に行ってしまい、約2年間、実質俺とツグ姉の二人暮らしである。年頃の男女を二人きりにするっておかしいだろ、あの人達。

 ツグ姉は俺より1つ年上で、知り合いの子供同士ということで、よく顔を合わせていた。あの時はお淑やかで、こんな女の子ではなかったのだが...



「こ..はダ..。次...」


「なんか言った、ツグ姉?」


「い、いえ、何も言ってませんよ、坊ちゃま」



 ニコニコと陽だまりのような笑顔を浮かべるツグ姉。家ではこんなだが、俺達の通う高校では生徒会長を務めるほどの優等生である。眉目秀麗、成績優秀、人望も厚いと『白鳥学園三大美女』の一人として挙げられている。



「それより、その『坊ちゃま』って設定いつまで続くの?この前は『ご主人様』だったし」


「メイドといったら『坊ちゃま』か『ご主人様』でしょ?」


「別にどっちでもいいけど、外ではやめてよ?」


「こんな姿見せるの、比呂ひろ君にだけなんだゾ」


「ツグ姉はどんなキャラを目指してるのさ...」



 これが俺の日課となっているツグ姉とのやり取りだ。





 ツグ姉と二人での朝食を終え、支度をして、俺は玄関でツグ姉を待っていた。



「ごめんね、待った?」


「今度は初デートのつもり?『今来たところさ』って言えばいい?」


「なんだかんだ言って、律儀に毎朝待ってくれている比呂ひろ君、私は好きよ?」


「はいはい、遅刻しちゃうから早く行こう」


「もう、照れちゃって可愛いんだから」


 

 玄関を出て、俺は庭にある転移術式・・・・を起動させた。





 西暦2154年、ある男の帰還によって世界は大きく変化した。

 『異世界ガルガンディア』

 そこから自分は地球に帰ってきた、とその男が主張したのがきっかけであった。

 急に現れ、「私は異世界から来た」と主張すれば、誰も信じないだろう。当然皆、夢と現実の区別の出来ない頭のおかしい奴だと奇異な目を向けたが、違った。

 巨大な扉が突如として男の後ろに現れ、その扉から明らかに人間ではない生物が続々と出てきたのだ。

 それは、空想上のものとされてきた『ドラゴン』を始めとし、小説などに出てくる『エルフ』や『ドワーフ』などの姿もあった。

 突然そんなものが現れたら、当然侵略などを疑う。その考えを見越したように男は発言した。



「私は地球とガルガンディアの橋渡しをしたいだけだ」



 その発言を皮切りに、その3年後の西暦2157年、地球とガルガンディアは交流を開始した。

 地球からはガルガンディアには無い『科学』を、ガルガンディアからは地球へ『魔法』を、お互いに教え合った。

 『魔法』という概念。地球では使えないと考えられていたが、地球とガルガンディアが扉で繋がったことにより、地球人でも問題なく使うことが出来た。

 それから17年経った西暦2174年現在までに『魔法』は、地球で広く利用されるようになった。



 その一つが、『転移術式』である。

 この術式は、文字通り転移することが出来る。登録した魔法陣から魔法陣へと瞬時に移動できるため、移動に大きく貢献した。しかし、デメリットもあり、魔力の関係で一日二回しか使用できないのだ。また、一つ設置するのに50万円ほどかかる。であるから、配達などには使用されない。



 また、『魔法』は教育にも影響を与えた。

 ちゃんと知らなければ人を傷つけるその技術を広めるために、専門の教育機関が設立された。

 比呂ひろ達が通う『白鳥学園』もその一つである。



 学園の生徒は特別に転移術式の使用を許可されているため、比呂達は毎朝このように登校する。



 鶫が先に魔法陣に入り、比呂もそれに続いて入ろうとすると携帯が鳴った。



「もしもし?」


「おお、比呂か。お前の愛するパパだよ」


「はいはい、用件は?」


「お前、明日で17歳だよな?」


「そうだけど?」


「いやー、母さんにさっき言われて思い出したんだけどさ。お前、彼女いる?」


「親父に関係あんの?」


「お、怒んなよ、お前の心配をして...」



 比呂は電話を切った。



「おじ様から?」


「うん、相変わらず訳分かんないこと言ってた」


「ふふ、おじ様らしい。何て言ってたの?」


「『彼女はいるのか?』だってさ。訳分かんな「どうなの?」」



 先程まで微笑んでいたつぐみの顔から表情が消えた。

 そのつぐみの変化に戸惑いながら比呂は答えた。



「い、いないよ」


「そう、早く学校行きましょう」



 その回答を得て、つぐみは上機嫌になった。

 その変化に混乱していると、再び携帯が鳴った。



「もしもし?」


「切るなんてひどいじゃないか。パパ悲しい」


「切るぞ?」


「わー、待った待った。これはお前にとっても重要なことなんだぞ」


「早く言えよ。遅刻するだろ」


「お前、明日から『勇者』引き継ぐから、彼女でも何でもいいから女を作れ」


「はあ?冗談は程々に...」


「これは冗談じゃないぞ。イチャイチャできる女の子を作らないと...」


「作らないと?」


「お前の金〇破裂するから」


「何でだよ!?」


「何でって、親にそれを聞く?保健体育で習っただろ?」


「〇玉破裂するなんて習ってねえよ!」


「とにかく、そういうことだから。念のため言っとくが、冗談じゃないからな。子供の作れない体になりたくなければさっき言ったことを守ること。そんじゃ、バイバイ」


「お、おい待て」



 電話は切れてしまっていた。再び電話を掛けるが、留守番電話サービスに繋がってしまった。



「あ、あの糞親父ぃ!」


「どうしたの、比呂君?」


「い、いや、ツグ姉には言えないかな...」



 女の子に、金〇破裂するかもしれないことなど言えるはずもないため比呂は誤魔化した。



「そう?早く行かないと遅刻するよ?」



 そう言われ、腕時計を確認すると結構危ない時間だった。

 比呂は父親から言われたことは置いておき、魔法陣の中に入った。



 

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