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強者目指して一直線  作者: 枯木人
小学校高学年編
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余興合わせ

 職員室。


 結婚式があるため、学校を休むことになった相川と瑠璃はその証明書を担任に見せに行っていた。


「……ふむ、どうやら本物のようだな……」

「権正先生はどうしてそんなに俺の担任の先生のことを蔑にするんですか? もう先生に許可は貰っていたのにわざわざ取って……」

「人聞きの悪いことを言うな! 先生、違いますよ? 私は学年主任として一応確認をしようとしただけですから……」

「じゃあ、他の担任の先生の時にも生徒の欠席届を取ったりするんですか?」

「相川ぁ……!」


 相川の分は何故か担任の後に権正に見られてから公欠の許可を貰うことになったので職員室内で対立煽りをして権正の立場を悪くしてから二人は外に出た。その際に権正が同僚たちから白い目で見られていたことなど相川たちには関係ないし、知る必要も特にはないのだ。

 それはともかく、職員室から出た相川は瑠璃に確認を取る。


「ちゃんと練習した?」

「うん! ばっちりだよ!」


 出し物について、結局決まらなかったので最近の流行りの曲を幾つかピックアップし、今から外のカラオケで合わせをしようとしているのだ。最悪、どれもしっくりこなかった場合は鉄板の歌か二人が幼稚園児だったころにお遊戯会で踊った物を今できる最高のパフォーマンスに適応させてやるつもりだ。


 そんな二人の前に遊神門派一同が現れた。


「……また瑠璃を変なことに付き合わせようとしてるのか……?」

「……お前らはそういう目でしか瑠璃を見れないのか?」

「お前の日ごろの行いが悪いからだろ!」


 日頃の行いが悪いことについては確かにそうだが、別に悪いことだけをやっているわけでもない。しかし説明するのは面倒なので相川の目が細くなって戦闘態勢に入る。その前に瑠璃が立った。


(……こいつらの味方をするならこいつごと……)


 相川が不意打ちして瑠璃ごと捻り潰そうかと考えていると瑠璃は一行に簡単に今回の経緯を説明する。すると相木があまり好ましくないという顔で瑠璃を諭してきた。


「瑠璃ちゃん、歌うなら自分の部屋でいいでしょ? 防音なんだし……二人きりで密室に入るなんて危ないよ?」

「ボクの部屋だって密室だよね? それにマイクとかどうするの?」

「瑠璃ちゃんの部屋だったら外出許可貰ってない私たちでも行けるじゃない。それに、マイクなくても地声で大きな声出せるでしょ?」

「……仕方ない……」


 瑠璃がそう言った時点で相川は瑠璃のことを諦めて一人で外に向かおうとする。邪魔するなら叩き潰すという意味を込めて相手を見据えようとした時、目の前の存在がブレた。


「ん?」


 瑠璃は問答無用で相木の腹部を殴って呼吸を乱し、その場に倒すと動揺する後ろのメンバーをそれぞれ昏倒させて廊下に倒し、端の方に捨てた。


「邪魔する方が悪いよね? うん仕方ない仕方ない。行こっ?」

「……何かこいつらが言ってることもあってる気が……」


 天真爛漫な瑠璃が相川の色に染まっている気がしていちゃもんだと切り捨てていた奏楽たちの言葉が割と本当のことなんじゃないだろうかと相川は若干思ったが、それは兎も角当初の予定通りに移動は開始することになった。





 学校外に出た二人は相川が一部出資しているカラオケ店に移動していた。平日の昼間と言うこともアリ特に待つことも必要なく部屋に案内された二人は早速機械を弄り始める。


「あーあーあーあーあー……音量はこんなものか。」

「おー……ボク、カラオケ来るの初めて! 最初に何したらいいの?」

「窓の外の確認はしたからドリンクバーの所に行ってドリンク貰って来るか。」

「うん。」


 ホットとアイスのカップを持って飲み物を取りに行く二人。そして部屋に戻るとテーブルと椅子の多くを片して人セットだけ残し、隣り合わせになって選曲を始める。


「……瑠璃、近い。」

「そう? でも、画面一つなんだよ?」

「あっちのも使えるから……」

「使い方知らない。」

「文字見たらわかるだろ……」


 膨らみかけの胸を相川に押し当てているのは故意か他意か。無駄にいい香りのする瑠璃から身を引き、角まで追いかけられて諦めると相川が入れた曲のイントロが流れ始めた。


「……にしても。流石に結婚式だからそれっぽい歌を入れざるを得ないんだよね……」

「一緒に歌おう♪」


 愛だの恋だの脹れただの惚れただの、好いた好かれたそんなことなったことないんだけどねぇ……と思いつつ相川は声を様々に変えて歌っていく。


「なんか、凄いね……」

「そうか? 普通な気が……」

「んーん……ボク、びっくりしたもん。でもやっぱり仁くんだなぁっても思った。」

「何だそれ……」


 瑠璃とは別ベクトルで相川の歌も上手かった。瑠璃が可愛らしく万人に元気を与える歌声だとすれば相川の歌声は万人を畏怖させるかのような歌声だ。


「ふむ。ところで瑠璃は地声で歌う方が良いと思う? それとも今の歌い方がいいかな?」

「えーボク、どっちも好き~」

「何だテメェ。」

「むー……強いて言うなら、だけど……普通の声の方が好きかな。」


 相川はそれを聞き入れて普通の声にする。瑠璃はよく声が変わるなぁ……と思いながら相川とデュエットを行いつつ踊る。相川もそれに合わせて踊った。


「……ねぇ、仁くんの動き時々攻撃になってるんだけど……」

「そうだな。でもバレなければ問題ない。」

「梵先生の結婚式なんだからバレるよ……」

「そういやあの人かなり強かったんだっけ?」


 大食いのイメージしかなかったので相川はあまり覚えていなかったが幼稚園で瑠璃の担当が出来るくらいの強さだったことを思い出して動きを舞に変える。


「ねぇ、まだ……」

「これくらい仕方ないだろ。」

「うん……」


 瑠璃はもっとラブラブな感じで踊りたいのにと思いつつも不承不承頷いて我慢する。一通り合わせたところでドリンク休憩に入り、二人は冷房を最強にして椅子に座る。


「やっぱり仁くん、凄いよね? 何でAクラス来ないの?」

「薬草の植え替えが怠い。担任が権正とか嫌過ぎる。どっちにしろ分かってる授業だが特Aの方が面倒なものばっかり受けさせられる。クラスのメンバーの大半が鬱陶しい。編入試験も面倒。折角リフォームした家を誰かに明け渡すなんて真っ平。後、目立つ。」

「……そっか……」


 一呼吸置いてから続けようとしていたのだが瑠璃が納得したらしいので相川はそこで止めておいた。その後は微妙に何かに悩む瑠璃とのしばしの雑談があり、会話が途切れるとちょうどジュースがなくなるところだった。


「あ、もう飲み終わっちゃったね……新しいの取りに行こ?」

「そうだな。」


 少しだけの時間、色々と考えていたらしい瑠璃だがすぐに顔を上げて笑顔を作る。相川はその時にあることに気付いたが気付かなかったことにして同じく席を立つ。


 その後、練習した結果上手く行ったのでもうこれで練習終わりでいいだろうという相川の判断に瑠璃が足りないと却下し、別日に練習を重ねた上贈り物をしようとショッピングに誘われたりすることになる。


 そんな様子を見てクロエが相川を取られまいと瑠璃に対する危機感を高め、遊神一門が瑠璃に変なことをさせまいと相川へ敵愾心を燃やすことになった。




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