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強者目指して一直線  作者: 枯木人
小学校高学年編
118/254

まさか来るとは

『来ました。護紋小学校北口方面の信号から裏口に向けて12人乗りのマイクロバス1台と30人乗りのバスが1台。それから8人乗りの乗用車が2台と軽自動車が1台。合計5台通過し……いえ、今乗用車1台以外が信号に引っ掛かりましたね。』

「はいどうも、了解です。」


 信号機待ちの誘拐犯。何となくシュールギャグでありそうな気がしなくもないなと思いつつ相川は真横から見てもそれがあると気付かれないような小型の通信機を着けて外部、彼の所有する会社と連絡を取っていた。


『青信号になりました。コンビニの駐車場でで他4台を待っていた乗用車を含めてそちらに向かっております。現在13時04分。そちらには13時15分ごろの到着になる模様です。』

「はーい。じゃあ事後処理の準備に入って下さい。」

『畏まりました。失礼します。』


 通信が終わると相川は先程からそわそわし続けているクロエのことを少し見てから最近何かと絡んでくる真愛の方から視線を感じてそちらを見返す。目が合うと逸らされるのでそれでいいとし、上の空で授業を聞いているとすぐに連絡が入った。


『現在裏口にてバスから降りた60名が内部犯と見られる事務局員の女性から入校許可証を貰って首からかけています。全員、青の制服を着ており4人に1人、手には工具箱がありますが中身は不明です。』

「ふむ……まーだ証拠が足りてないかなぁ……せめて武器の有無くらいは確認してないと確保できないよね。その辺はどうですかねぇ?」


 その時点で取り押さえて御用改めを行ってもいいのだが、学園側の護衛に対する扱いが雑だった点も含めて考えると少しくらい痛い目は見てもらおうと相川はスルーしていた。しかし、物的証拠が挙がっている状態だとすぐに動かないと無能扱いされるのでその辺の確認を行っておく。


『目に見えてということはないです。今、校内へ入りました。事務員には入校許可証を見せて和やかに談笑しています。その間に別働隊が……』

「オーケー。もう、こっちからも見えましたっと。氣で探査した感じだと教職員を抑えながら通報を避けるために全クラス一気に確保するつもりだな。じゃあ動くから増援などあったら連絡お願いします。」

『承りました。』


 通信が切れ、そわそわしているクロエが相川のことをじっと見ている。上の階で動きがあったのを感じ取ったのだ。同じく気付いていた相川も頷いた。瞬間、クロエは無言で席を立ち上がる。


「え、と? おトイレかな?」


 驚いた担任の丹羽の声を無視してクロエは窓に向かうとそれを開け、落下防止用の窓の外にある場所に降りると上階へと跳ね上がって消えた。その次の瞬間、相川たちの所属する5年A組へ招かれざる客がハンドガン片手に入ってくる。


「動くがっ」

「ごぇっ」

「ぐぶっ……」


 全員入った瞬間、相川は物も言わせずに全員昏倒させて即座に縛り付ける。そして今の一瞬で幾つもの出来事が起きて理解が追い付いていない女性教員、丹羽に笑顔で告げた。


「仕事です。それでは皆さん教室から絶対出ないように。」


 全員が呆気にとられている間に相川はハンドガンを1つ以外回収し、その1つは未だ現状が分かっていないままの丹羽に手渡して廊下に出る。残されたクラスには誰かの声が響いた。


「凄い……」





 廊下に出た相川は窓ガラスの割れる音を聞きつつその場にほんの数瞬だけ立ち止まるとすぐに他のメンバーたちの連絡が入る。


『瑠璃だよ~5-Bは終わったから4年生の方に行って来るね!』

『こちら奏楽、Cクラス終了だ。4年生の方に……』

「待て、4年は瑠璃が行った。3年に行ってくれ。」

『了解。』

『クロエです。6年生全クラス確保。2年生のクラスに急行しています。』


 相川はそれらの通信を受け取りつつ職員室に急行し、敵性分子も含めて敵を排除して捕縛した。そして最後、1年生のクラスをAクラスとBクラスは瑠璃が、Cクラスは奏楽が制圧したことを報告して相川が放送を流す。


「えー、ただ今の敵勢力は既に排除いたしました。この後の行動は先生の指示に従って行ってください。繰り返します。もう敵は倒したので何か適当にやってください。以上。で、捕縛したのは職員室に持って来て。今度こそ終わり。」


 相川は放送して頷いた。二度目の適当な放送はご愛嬌だ。その後ろでは信じられないと言った表情の男たちが知らない先生のデスクの上や下に詰め込まれている。


「う、嘘だろ……何でこんなガキに、俺らが……」

「……この机の持ち主には後でごめんなさいしておけよ? 特にお前、何でズボンに汚ぇ沁みつくってM字開脚してんのか知らんが……」


 相川は呆れたようにM字に縛られている男を見てやれやれという動作を取った。シミが出来ているのは相川が股間を強烈に蹴り上げたからだ。3種類の液体が混じって汚いことになっている。


 犯人はお前だろと猿轡を噛まされて頭を机の脚に固定されて身動きが出来なくなっている男が睨み殺さんとばかりに笑っている相川を見るが、相川は邪悪に笑って逆に戦慄させるだけだ。


「持って来たよ! ボクが一番多い!」

「おうご苦労……何か悲惨だな。」


 睨んでいる相手の股間から液体を更に流出させて苦悶の声まで漏らさせていた相川がついでだし他の奴らも股関節外してY字開脚にしたりしてあげようかなと考えていると褒めて欲しそうに満面の笑みで急いで瑠璃がやって来た。その片手には手足を折られ、連続で首に縄付けられた状態でもの凄く雑に引き摺られている人々を持っている。相川は頭を差し出してくる瑠璃の柔らかな髪を撫でつつ気絶している男たちの数を数える。


「……21。何か捕虜にも人権をとか言われそうな状態だな。」

「急いでたから……」


 笑いどころじゃないところでてへへと笑っている瑠璃に続いて奏楽が3人ごとに数珠つなぎになってこちらを睨みながら移動している男女たちを連れてやってきた。


「……相川、お前人を辱めるなよ……それに、惨いことをする……」

「いや、それは瑠璃がやった。そしてこれはこの男がどうせ縛られるなら自分で途中まで縛らせてくれと懇願されたから時間もないし仕方なく……」


 猿轡をがっちり噛まされていて首も机の脚に固定されているので否と言えない虜囚を相手に相川は好きなことを言う。そして最後にクロエが連れてきた人々を合わせて相川は頷く。


「これでよし。後は煮るなり焼くなり八つ裂くなり警察に突き出すなり好きにしてくださいね。後、次の契約からは少数でやるの止めた方が良いですよ。全員がこいつらみたいに優秀と言う訳じゃないんで。」


 相川は襲撃後僅か5分で収拾した事態にまだ追いついていない教員たちにそう言うとドヤ顔していたり褒めて欲しい子犬みたいになっていたりじっと察してと言わんばかりの視線を送って来る同居人たちを連れてクラスに戻って行った。


「あ、忘れてたわ。」


 そして相川が怯えて一塊になるにも長いよなぁと思い、そう言えばと戻って来て教員たちの縛めを解くまで教員たちの受難は続き、5年の学年主任などは漏らしてしまって権威を失墜させたりしてせめてもの一太刀とばかりに相川たちの評価を滅茶苦茶にしてやった。それにより、相川の担任である丹羽を苦しめていた者は完全に没落し、丹羽の元気は更に上がることになる。


 一方で相川たちの学園の評価は特に上がらないことになってしまったのだった。








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