『自宅警備員な俺』
多少短いですが、ご容赦ください。
作者の力量では、これ以上は話を盛れませんでした。
読みにくいという指摘を受けて、漢字でのルビを減らしました。
― まずは、その名称から ―
昔、俺が見た とある資料によれば……。
『自宅警備員』とは、自宅の警備に生涯を捧げる、漢の中の男の事であるそうだ。
一国一城の主を目指すのであれば、避けては通れない茨の道であると思われる。
― 自宅警備の心得 ―
文字通り自宅の警備、大切な家族と財産を守る、これは大切なことである。
今は戦国時代。
SECAMやOLSAKなんて云う、安易に頼れる者はいないのである。
家を守ることが何よりも重要である。
『修羅の道と心得よ!』
軍神.上杉謙信公を見習って、『生涯不犯』を貫く求道者もかなり多いそうだ。
注)
(脳内で”ふぼん”の文字を出す時に、”ぼん”の文字が候補に出てこず ”犯す” と震える指でドキドキしながら入力した俺は、純粋だっ!……後で、よくよく考えれば”犯人”の”はん”と打てばよかったなぁ)
― 自宅警備の現実 ―
実を言えば、前世の俺は正式な意味での自宅警備員ではなかった……
自宅警備員という花形産業にあこがれる、しがない労働者だった。
非正規雇用タイプという者である。
大切な夜間の警備を家族に任せるその心苦しさなど、エリート諸氏には判るまい。
いかんせん警備業務には、お金がかかるモノなのだ。
『国防費(生活費)』というモノは、大事なのである。
ゆえに、俺は仕事に手を染めた(働いた)負け組である。
一度でいいから、『働いたら負けだ!!』と、大声で言ってみたかった……。
― 労働基準法が適応されず、長時間の重労働が課せられる。
又夜勤が多く12時間以上の労働なども起こる…。 ―
そうだ、労働基準法が適応されないということは、つまりは労働者でないのだ。
そうかそうか、俺は働いていなかったのだ~。
― ……監視・保守業など、複数の職業を兼任する猛者も多いという。
主な仕事は、自分の住まう邸宅を警備することである。
彼らの中には、情報戦を得意とするプロ集団すらいるのである。
専守防衛の為に侵入者を容赦なく粛清するという、
『自宅兵士《地侍》』というカテゴリーも非公式ながら存在している。
『自宅警備部隊《一族郎党》』を率いる猛者《国人領主》も
出現しているらしい。
さらに格上は、猛者を取り込み『自宅警備軍《守護大名諸侯軍》』を
保持している。
このような武装化の流れに加えて、在宅の政治評論家の
業務もある。
彼らのになう責任は、非常に重い。
戦国期には町内会を形成し、強靭な自宅(敷地)防衛力《信長防衛網》を 保持する。
これは、はた迷惑な隣人(信長)に対しての生活の知恵(苦肉の策)と
言えよう。
なお未来の自宅警備員希望者《足軽》の報酬は、食料と寝床が現物で支給される。 ―
なるほど、『一所懸命』だな、安易に「いっしょうけんめい!」でないところが、シブいじゃないか。
そう考えれば、まさに俺は自宅警備員になるべくして生まれた、エリートと言えよう!
そういう意味では、俺はまさに適任である。
しかし、多少の交渉とか外交もせねばならん、時代とは云え嘆かわしいことである。
これも、『在宅の政治評論家』の業務の一環だろうか?
~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~
内政チートの方は少しづつ小出しにしている、積極性という言葉は『悪』である。
まずは城下の整備だ!
これについて、意見を具申した。
『自宅』を拡大しないと、なにかと行動が不便である。
後は、火薬作りと、特産品の開発を手がけた。
こちらには警察がいないので、心置きなく自宅で実験が出来る。
大概面倒なのでマニュアルを作って『門外不出』とし、製造は丸投げである。
まあ、そろそろ製法が出まわっている頃合いだろうし、情報管理上も問題ないであろう。
他に考えた特産品は、美濃紙の高付加価値化である。
版木による多色刷りで、カラー印刷を試み商品化を目指している。
こういうのは、『自室警備員《こだわりの職人さん》』が有能だ、良い人材を引き抜きたいが、ひき抜いてしまっては自室警備に支障が出るので、委託にしよう。
寺、神社、商家からかなりの引き合いがきている。
おもちゃも作ろう。
料理やお菓子もいいな。
後は材木と、薪の確保、跡地の営林ですね。
丸投げです!
牧場も、とりあえず自分の分は確保いたしました。
丸投げです!!
肉と乳製品は自宅警備に欠かせません、農家に外部委託いたします。
でもまあ売れなくてはどうしょうも無いからな!
そう言うところは、当主(親父:宿主)に任せよう。
「浅井、六角との友好は大事だよ」
「商売重視でね~!」
そう、ご意見をするのであった。
あとがき
― 戦国時代 ―
それは、
『一所懸命』に所領(自宅と敷地)を守るという、
熱き男たちの、命を賭けた『自宅警備の時代』であった。
ひきこもり書房 『よい子の歴史』より (一部意訳)