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まずは、鍛錬から

まずは、鍛錬から


 さて、お爺ちゃん(斎藤道三)が死んでしまった。

まあ俺が当主の息子で、次代の美濃を背負うことには変わりがない。

次期当主として責任を全うするためにも、俺がするべきことは、いろいろあるが……。

まずは、鍛錬である。


明智光秀は、有能な家臣である。

俺の近習を勤めていた関係で、叔父が道三に味方するも蟄居で許された。

史実と異なり、明智城が攻められることはなかった。

現在の城主は、光秀である。


まあ、俺が穏便に済ませるようにお願いはしたが、決定権があるわけでもない。

全ては、親父の采配だ。


光秀は律儀な男であるから、俺に恩を感じて誠心誠意俺に仕えてくれる。

とても素直に俺に懐く様は、まるで犬のようだ。


とはいえ、いったんお稽古で『お師匠モード』になると鬼のように厳しい!

ギャップがすごいが、手を抜かずに鍛えてくれるところが正直ありがたい。

俺は、基本怠け者だからなぁ~。

優しい先生では、だめなのよ。

そういう意味で、彼は適材だ。


流石に歴史に名を残すだけあって、オールマイティーにこなす『準チート人材』だ。


それとは対称に、竹中一族は、要注意人物である。

歴史上では、親子2代で城を掠め取っている。

半兵衛が太閤秀吉に仕えたから美談仕立てであるが、やったことは鬼畜だ。

ある意味、美濃をぶっ壊したのだ。

ゆえに、警戒が必要である。

父親の重元はもはやどうしようもないが、半兵衛は俺の小姓(モノ)として再教育を施した。

まあようやく、じゃじゃ馬を乗りこなせたところである。


 肝心のチートだが、光秀と半兵衛を配下に置く以外のことはしていない。

すまん、そう急かさないでくれ。

まだ、10才足らずのガキが偉そうなことを言ったら、気持ち悪がられ排除されるのは当然だろう。

親父は猜疑心が強いからなぁ。

多少、お利口さんでも可愛い子供というのが一番かな?


というわけで、政治は親父任せである。

(まあ普通はそうだよな。)

桶狭間の手前までは、ある程度放置の方針だ。



というわけで、俺は今日も修練に励むのだ。


”ガツン”

「喜太郞様、何をボ~ッとしておいでですか?」


光秀が木刀で俺の頭をコツいた。


「痛って~っ」

しまった、訓練中に考え事とは不覚!


「まったく、そのようなことでは次代の美濃をお任せできませぬな!」


「少しは手加減してよ~」


「しておりまする、死にはいたしません!!」


「どんだけ~ぇ」

俺は、その後も光秀の容赦ない攻撃を受け続けた。

鍛錬が終わるころのは、もうクタクタである。


そして、それからお勉強。

こちらも光秀が、いろいろ教えてくれる。

手習いから、教養、礼儀作法までひと通りこなせるのだ。

なんと有能な家臣だろう!


そして、軍略・計略こちらも光秀だ。

( ^o^)ノ

おいおい、そこは半兵衛だろう?

と思ったが、光秀の講義はわかりやすくおもしろかった。


(もう、光秀が美濃の領主でいいんじゃね!)

口には出さなかったが、俺はそう思ってしまった。


 とはいえ、やはり半兵衛の計略も聞きたいので半兵衛が宿直の際にむりを言って聞かせて貰った。

寝物語で、かの軍師.竹中半兵衛のお話が聞けるとは最高の贅沢である。



~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~



 稲葉山は、四季折々美しい風景を俺に見せてくれる。

長良川の清流も豊かである。

取れたての鮎が香ばしくて美味しい!

実に、長閑に時が流れてゆく。



 まあ、俺は基本自宅警備員なのだが、自宅が無茶苦茶広いため大抵のことは可能だ。

広大な馬場も、たくさんの書籍を蔵する書庫も、茶室、庭園、お風呂も完備だ。

自宅で乗馬である。

自宅で弓の稽古である。

自宅でお買い物!商人が荷物を沢山抱えてやって来る。


 挙げ句の果ては、『山登り』まで自宅で堪能出来てしまう。

もはや、自宅警備員なのか、稲葉山城の警備員なのか判らない状態である。


稲葉山の頂上までは、恐ろしく遠い。

およそ一時間はかかる険しい山道なのだ、ハイキングレベルを軽く超えている。

おかげで俺は、『健康優良児』である。


(俺の属性が、ひとつ消えてしまった……。)


まあ、今は戦国時代だ、もやしっ子では生き残れない過酷な現実が待っている仕方がないことだろう。


なんと言っても織田信長が脅威である。


史実では、

『30手前のいいおっさん(信長)が、中学生14才のガキをいたぶった』のである。


そう書けば、キミもいかに信長の方が悪いか判るだろう?

さんざん斎藤家に世話になったクセに、アイツだけはホント許せんわ!


 まあというわけで、少し仕返しをしようと思う。

別に大したことではない、尾張上四郡の残党にテコ入れをするだけだ。


細かいことは、竹中重元に任せた。

彼は、長良川の合戦の際、大博打で祖父の道三方に付いていたが俺と半兵衛の関係で許された。いちおう居城.大御堂城は健在である。

だから、岩手城を攻略する必要がなくて暇だろうし、コキ使わないとな。


人が良さそうに見えて、ものすごく黒いのだ。

元お祖父さんの部下であるだけに、彼は放っておくと要らないことをしそうだ。

浅井との抗争などゴメンである。



 この隠れた策士が参入するだけで、歴史がどう変わるのか?

それを見るのも面白いじゃないか。


かくして、俺は歴史に一石を投じた。


その波紋がどうなるのかは、誰にも判らない。




明智光秀、有能です。

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