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取り憑かれた公爵令嬢  作者: 龍翠
番外編(S)・後日談(A)

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252/259

リバーシ

壁|w・)新作がきりのよいところまで書けたので、宣伝と気晴らしをかねて。

誤字脱字チェックをしていません。申し訳ないです。

 ティナがアルディス家に遊びに来たとある日。リリアとティナがリリアの部屋で紅茶をお菓子を楽しんでいると、いつの間にかいなくなっていたさくらが走って戻ってきた。手には大きめの袋がある。


「リリア! これやろうこれ!」


 どうやらどこかから、何かをもらってきたらしい。時折あることなので気にせずにさくらを隣に座らせる。


「それで? どこから何を借りてきたの?」

「王様から!」

「…………」


 リリアとティナの頬が引きつるが、残念ながらさくらはそれに気づいてくれない。さくらが続ける。


「お友達が遊びに来てて、何か楽しめるものないかなって聞いたら、王様がくれたよ。返す必要はないって」

「そ、そう……」


 陛下には謝罪が必要だろうか、とそんなことを考えながら、ティナと一緒にさくらが取り出したものを見た。それは、白色と黒色の石を使って遊ぶもの。いわゆるリバーシだ。


「ああ、これね。私もやったことはあるわ」

「へえ。結構前の賢者さんが作ったのかな」

「あ、つまりこれもその、そうなのね?」

「うん。そうなの」


 一応さくらの世界のことをぼかして聞くと、さくらはちゃんとそれも理解して頷いた。

 リリアとしては少し驚きだ。リバーシはリリアが物心つくころにはすでに存在したゲームだ。こんなところにまで賢者が関わっているとは思わなかった。


「うん。リリアが知らないだけで、結構多いよ。ゲーム関係は特に」

「そうなの?」

「うん。チェスとかトランプとか、だいたいそうだよ」

「へえ……」


 本当に、賢者の影響は多い。改めてそう思う。

 だが今はそれよりも。


「じゃあやろう!」


 さくらをどうするか、だ。


「落ち着きなさい。これだと二人しか遊べないじゃないの」

「あ、いいよ。私は見学するよ」


 そう答えたのはティナだ。それならば構わないが、それなら何回かで交代するべきだろう。

 とりあえずまずは、さくらと勝負だ。機嫌良さそうに鼻歌を歌うさくらへと、リリアはこっそりと獰猛な笑顔を浮かべた。




 結果はリリアの五戦四勝だった。最初の一敗はさくらの置き方を見るために費やしたので、実質全勝だ。


「えー……。これでも少しは自身あったのになあ……」


 しょぼん、と項垂れるさっくらに、少しだけ罪悪感を覚える。だがこれは勝負の世界だ。あと普段の仕返しも少しだけ。

 こうなれば、とさくらが立ち上がる。そして、


「ティナ! 私のかたきをとって!」

「ええ!?」


 狼狽するティナへとさくらがボードを向ける。拒否権はないらしい。相変わらず自由だなと思いながらも、リリアはティナへと言う。


「まあ、せっかくだし、ね」

「そ、そうだね……」


 ここで一つ、公爵家の威厳を見せてやろう。不敵に笑うリリアの対面、ティナはじっと盤面を見つめていた。




 結果としては、五戦全敗。一勝もできなかった。その結果にはリリアだけでなく、さくらも目を丸くしていた。


「うそ……。そんな、あり得ない……」

「えっと……。リリア? 大丈夫?」

「私が、負けた? そんなはずは……」

「あ、だめだこれ」


 さくらは早々に慰めるのを諦めた。むしろ今は、今のうちにティナとやっておきたい。


「勝負だー!」

「え? えっと……。はい」


 戸惑いながらも、ティナは引き受けてくれた。




 こちらの結果はさくらの全勝だった。


「あれー……?」


 リリアにも勝てないのでリリアよりも強いティナに勝てるわけがない、そう思っていたのだが、あっさりと勝ててしまったことに拍子抜けした。


「ティナ、私に勝っておきながら、手を抜いていないでしょうね?」


 少しだけ心が回復したリリアが言って、ティナは慌てて首を振った。


「し、してないよ!」


 それならどうしてだろう、と不思議に思っていると、答えは天井から降ってきた。


「おそらく、相性の問題かと思います」


 この声はシンシアのものだ。どうやらずっと見ていたらしい。

 なるほど、相性。それは考えていなかった。

 確かにここにいる三人は、性格はまるで違う。石の置き方にも違いがあるだろう。それがたまたま、相性として成立してしまったらしい。妙に納得してしまった。


「なるほどね……」

「ならその相性を克服してやるー! リリア、勝負だ!」

「望むところよ」


 立ち上がるさくらと、それを座ったまま静かに見据えるリリア。ティナはそれを楽しげに笑いながら見つめていた。




 その光景を見ながら、アリサは天井からの小声を聞いた。


「すごいね。実際の相性そのままだよ」

「あー……」


 なるほど、とアリサは頷いた。

 リリアはさくらに対して強い。これは普段からそのままだ。

 さくらはティナに対して強い。これはあまり関わりがない以上、立場そのままだろう。

 ティナはリリアに対して強い。リリアはなんだかんだとティナに甘い。間違ってはいないと思う。


「シンシア。口には出さないように。リリア様に聞かれてしまうと、怒られるわよ」

「あ、うん。気をつけるね」


 そうして二人が話している前では、項垂れるさくらと勝ち誇って笑顔になっているリリアがいて。アリサは小さく微笑むと、そろそろ冷めるだろうと紅茶のお代わりの用意を始めた。


壁|w・)異世界鉄板ネタ、リバーシです。

リリア→戦略型。相手を研究、解析して狙い撃ち。

さくら→感覚型。中途半端に考えるけど基本的には直感。

ティナ→特化型。よく知っている相手ならなんとなくのカウンターができちゃう。

こんなイメージ?

取り憑かれたは本編が完結しているのでとても良い気晴らしになります。

二人を書けて満足満足。

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