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取り憑かれた公爵令嬢  作者: 龍翠
番外編(S)・後日談(A)

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スピル

壁|w・)もふもふの宣伝がてらにもふもふ担当スピル視点。

ちょっと遊びすぎたかな……?

 スピルの一日はさくらの起床と共に始まります。

 さくらはいつもあてがわれた部屋か、もしくはリリアの部屋で寝ています。さくらが眠った後はいつもその側で自分も丸まります。ただし眠ることはありません。精霊に睡眠は必要ないためです。


 ならなぜ自分の上司であるさくらが寝るのか、それは分かりません。聞いてみたところ、気持ちいいから、とのことでしたが、何がいいのか分かりませんでした。

 さくらはいつもリリアより少し早く起きます。欠伸をしつつ伸びをして、スピルに手を振ってくれます。それを見たら、スピルはすぐにさくらの元に駆け寄ります。


「おはよう、スピル。今日もふわふわもこもこだね」


 役得役得、なんて言いながらさくらはスピルを撫でてくれます。とても優しく、それでいてしっかりと。とても気持ちが良くて、ついつい体をすり寄せてしまいます。


「相変わらず甘えんぼだねー」


 ういやつめー、わしゃわしゃー。時折さくらが何を言っているのか理解できません。

 さくらが満足してから、リリアを起こしに向かいます。さくらの親友で、スピルにとってはもう一人の上司のようなものです。人間ですが、そんなことスピルには関係ありません。

 さくらがリリアの体を揺すると、すぐに目を覚ましました。おはよう、と挨拶を交わす二人はとても仲が良いのがよく分かる笑顔です。


「スピルも。おはよう」


 リリアが頭を撫でてくれます。とても優しい手つきです。


「さくらは今日はどうするの?」

「リリアの今日のお仕事は午前中だっけ」

「ええ。昼からは手が空くけれど」

「じゃあお昼まで散歩にでも行ってくるよー。その前に朝ご飯!」

「はいはい」


 二人が連れだって部屋を出て行きます。置いて行かれそうになったので、スピルは慌ててさくらの頭の上に乗りました。ああ、ごめん、とさくらが撫でてくれます。

 二人と一緒に食堂に入り、朝食を眺めます。

 食べることは楽しいです。これはスピルも分かります。なのでいつも、こっそりと、さくらからお肉をもらったり果物をもらったりしています。今日は厚切りのベーコンでした。さくらの足下で手早く食べます。美味しい。


 食べ終わった後は自由行動です。

 リリアはお仕事へ、さくらは散歩へと向かいます。その間はスピルも暇になります。最初の頃はスピルもリリアの側にずっといましたが、今ではお仕事中は自由にしていいと言われています。

 かといって、やることなんてないのですが。

 スピルもさくらを真似てお庭を散歩してみます。広いお庭をのんびりと。メイドや執事が大勢仕事をしています。いつもの光景ですが、皆さんとても働き者です。


 そうして部屋に戻ってきてまたのんびりしていると、今日はリリアが先に戻ってきました。

 リリアは荷物をテーブルに置くと、メイドに手伝って貰いながら動きやすい服装に着替えます。ドレスではなく、落ち着いた雰囲気のワンピースです。お忍びの格好です。


「スピル。さくらはまだかかりそう?」

「ちょっと待ってください……。すぐに戻るけどまだかかる、だそうです」

「あらそう。どうしようかしらね……」


 どこかつまらなさそうに椅子に座りました。スピルはその足下で丸まります。ふむ、とリリアがスピルを見て、


「スピル。おいで」


 リリアに呼ばれて、スピルはその腕の中に収まります。そうすると、リリアはスピルを少しの間撫でた後、ぎゅっと抱きしめてくれます。


「はあ……。ふわふわ……」


 さくらに秘密、と言いながら、こうしてもふもふしてくれます。秘密にする必要はないと思うのですが、リリア曰く、恥ずかしいのだそうです。スピルにはよく分かりませんが、そういうものなのでしょう。

 少しして手を放して、次はスピルの前足を握られます。前足、というより肉球を。ぷにぷに、ともまれます。ちょっとだけくすぐったいです。

 当然ながら本来スピルに肉球なんて必要ありませんが、さくらがスピルを生んでくれた時に、この姿として生んでくれました。実際の犬よりもずっと柔らかい肉球が誕生しました。ぷにぷに、ともまれます。ちなみにさくらもよくもんできます。


「リリア、何やってるの?」


 不意に、さくらの声が聞こえました。リリアがびくりと体を震わせて、勢いよく振り返ります。さくらがにこにこ笑顔で立っていました。


「さ、さくら? もう少しかかるんじゃなかったの?」

「うん。驚かせようと思って、スピルには嘘ついちゃった」


 それはそれでひどいと思います。スピルの非難がましい視線を受けて、さくらはごめんねと苦笑しました。


「いやあ、でも、リリアがこんなことしてたなんて。スピルのこと気に入ってくれていて、私はすごく嬉しいよ」

「いえ、違うのよこれは。あのね、さくら」

「言わなくても分かる! スピルはかわいいからね、仕方ないね!」

「ちょっと待って。話を聞いて」

「ぎゅっとしてぷにぷにして。いやあ、リリアもかわいいところがあるね!」

「…………」


 あ、そろそろやばいかもしれない。スピルはそっとリリアから離れました。リリアの様子のへんかに、さくらは残念ながら気が付いていません。


「私もこう、鼻高々というか……」

「いい加減うるさいわよ!」


 いつの間に持っていたのか、リリアが俊敏な動きでさくらの口に何かを入れました。その直後、


「みぎゃあああ!」


 さくらが悲鳴を上げてのたうち回ります。さくらのこの反応はただ一つ、ピーマンです。


「まったく。ピーマンを食べられないお子様のくせに。アリサ!」

「ここに」


 これまたいつの間に用意していたのか、アリサの手にはピーマンたっぷりの野菜炒めが盛られたお皿。リリアはそれを受け取ると、さくらににじり寄ります。


「ひっ……。待って、リリア、それはだめ……。お願い、許して……」

「許してほしいの?」

「うん!」

「うふふ」

「あ、あはは……?」

「だめ」

「ふぎゃあああ!」


 びったんばったん暴れる二人。相変わらず仲が良いことです。


「スピル様。ジュースはいかがですか?」


 あ、もらいます、とスピルはすぐにテーブルの上へ。お皿になみなみ注がれたジュースを舐めます。ぶどうジュースです。美味しい。

 すぐそこではまだまだ大騒ぎが続いています。


「今日も平和ですね」


 ですねー、とスピルは同意します。となりのどたばたは知りません。むしろ平和な証拠です。

 お腹が減ってきたのか、やがて二人の動きが緩慢になり、疲れ果てた二人が戻ってきました。さくらが拗ねてしまっていますが、リリアから渡された苺大福ですぐに機嫌が戻っています。

 お昼ご飯を食べて、二人は出かけて行きました。お昼ご飯は少なめだったので、また食べ歩きでもするのでしょう。今日はスピルはお休みだそうなので、のんびりとここで寛ぎます。

 やがて帰ってきた二人にたっぷりとお菓子をもらって、スピルはとても幸せな気持ちになりました。




 晩ご飯も終わって、寝る頃になって。今日は二人一緒に眠るそうです。本当に仲が良くて羨ましいです。


「スピルもおいで」


 遠慮無く、スピルは二人の間に収まります。二人からもふもふなでなでしてもらいます。一番幸せな時間です。


「おやすみ、さくら。スピルも」

「おやすみ、リリア。スピルもね」


 尻尾を振ってお返事。そうして二人が眠ってから、スピルは今日のことを振り返ります。今日もとても楽しい一日でした。

 二人がこうして笑い会える日がずっと続きますように。スピルはそんなことを考えながら、小さく丸まりました。


壁|w・)もふもふを書いているとこちらでももふもふを書きたくなりました。

なのでこの作品のもふもふ代表、スピル視点でお送りしました。


そんなわけで! いつもの宣伝です!

新作始めました。『銀麗の魔女』

VRMMOのゲーム世界を巡るAIさんが主人公です。

のんびりまったりほのぼの。友情もの、かな?

メインはもふもふ。もふもふを書きたくて書いています。

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