子供の頃の夢は
幼なじみ要素と余命要素の回収を多少強引にしました。
「子供の頃の夢についてふと思ったんだけど」
将来の事を考えていた健一がふと、子供の頃に夢について思うことがあった。
「子供って幼稚園くらいの頃? 野球選手だっけ?」
「そうそう、そんでお前がお花屋さん」
「すごいありきたりな感じだね」
子供の頃は。
いや、大人になっても普通は知っているものに成りたいと思うもので、ありきたりなものになるのはしょうがない話ではある。
「本当になりたかった訳じゃないけどね。野球好きじゃないし別に」
「それで? ふと思ったって野球好きじゃないのに野球選手になりたかったとか、どうでもいい感じの話?」
特に理由は無いが、何となくで攻撃するさつき。
「びっくりするくらいトゲトゲしいね君。違うよ」
「ごめんなさい」
でもすぐ謝るさつき。
「話戻すと、子供、それも幼稚園の頃から既に将来働く事を考えさせられてる事実に気づいたわけ」
「? ……おー確かに言われてみれば将来の夢って職業だねー」
しかし、たまに車に成りたいとか言う子供もいるので一概には言えない。
「だろ?」
「でもさ、例えばチェスが好きで、ずっとやっていたいって言ってもプロになるって解釈されちゃうじゃん。子供が思いつくようなものは大体職業に繋がってるんだよ」
「職業か……機械が俺らの代わりに働いてくれるようになったんじゃなかったのか、と問いたい」
「機械のおかげで仕事がはかどるようになったから、仕事が増えたんでしょ」
「世も末だ」
「そもそも、あたし達はあと5年位の命だし、将来も何もないと思うけど」
二人の余命は病院で聞いた話が真実なら、20歳になれるかどうかという話だった。
「世も末だ」
「そっちは世の中は関係ないと思うけど。でも、あたし達って高校卒業したらどうするんだろうね。大学だと行ってる間に尽きちゃうよアレが」
アレとは命のことだろう。
「短大でも卒業前後で終わるしなー。俺らの人生はなんだったのか」
「あたしの持論語っていい? 馬鹿にしたら叩く。」
さつきは病気の診断をされてから色々考えていたので、自分なりの答えを出していた。
そして本音の話なので牽制もした。
「どうぞどうぞ」
「知識とか思い出ってのはね、話題のタネの為にあるんだよ」
「ほうほう」
「だからね勉強で得た知識とか良い思い出も苦い思い出とかも話題にする為に経験してるわけ」
「なので、今ここで話をし合ってるあたし達は人生を謳歌してると言って間違いない。と、あたしは思う」
「普段アレな感じなのに意外と難しいこと考えてるんだなー。と僕は思いました。まる」
「しね!」
さつきのパンチが健一に容赦なく突き刺さる。
「いたっ。ちょっと馬鹿にしただけなのにホントに殴るしこいつ」
「有言実行」
「なるほど。有言実行ということは、子供の頃の夢のお花屋さんになるってのも諦めてないのか」
「それは時効」
「ですよね」
思ったより重い話になってしまったかも。
あと持論の部分をもっと軽くするか迷った。