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こっから出たら

「となりの席のなんとか君って絵本あったじゃん。あの怪獣の男の子の奴」


 さつきはふと思い出した絵本の話を始める。


「あのラブコメな」


「ラブコメだっけ?」


 小学生も低学年な話だったはずなのに、ラブコメ扱いをされ不思議に思うさつき。


「面倒見のいい男の子が、隣の女の子に声かけたらビビられたっていう話だよ」


「でも、こっから出たらぶつとか物騒なこと言ってたじゃん」


「優しくしてやってんのに舐めた態度取られたからムカついたんでしょ。小学生だし」


 どうやら健一はあの絵本の女の子が好きではないようだ。


「可愛さ余って憎くなったのね。可哀想になんとか君」


 さつきも男の子の方に同情する。


「あれ? そっちに感情移入するんだ。女的には女の子の方に移入すると思ってた」


「いえいえ、面倒見てくれる人に辛く当たるなんてあたしゃ許せませんよ」


「まったくだ。感謝しろよ? 俺に」


 日頃の感謝を捧げろという健一。

 謙遜をする間柄でもないので、こういう事は普通に言う。

 さつきもそれに勿論といった風に返事をする。


「えっ?」


「えっ??」


 しかし、さつきはなんのことだかわからないという態度を取った。


「まるで俺がおかしいこと言ったみたいな態度取らないでくれる?」


「よく考えると確かに面倒見られてる気がする」


 面倒自体はお互いみるが、問題を起こすのはさつきの方が多いので、必然、さつきの方が面倒をみられていると見て間違いなかった。


「だろ? 俺に言ってる風な流れだったのにびっくりしたわ」


「うん。あ、お菓子とって」


「ちょっと待ってろ。って、これは面倒見がいいのと違う気がするぞ」


 当然、二人共わざとである。


「そんなことないって。感謝してますよ。それよりさっきの話に戻るんだけど、どこがラブコメだったの?」


 話の脱線に気づいたさつきは話を戻す。


「たしか続編とか出てて、迷子になった女の子を男の子が探しに行ったり、普通のラブコメになるんだよ」


「へー男の子が怪獣になるだけで結構なコメディだけど、ラブもあるんだ。今度読んでみようかな」


「読んでねーのかよ。じゃあなんでこの話題出したんだよ」


「昔読んだけど覚えてなかったの。それで最近ちょっと思いまして」


「なにを?」


「あたしベッドほぼ占領してるじゃん」


「うん。俺のベッドをな」


「なのに、あんたがおもむろにベッドに腰掛けたりするとドキっとするのよ」


 普通は女が寝ているベッドに寄るようなことは無いが、気軽い関係であったことに加え、そういうことをあまり気にしない健一はたまにさつきを困らせていたようだ。


「返答に困る話題来たな」


「それでね、これからはこっから入ってきたらぶつから」


「だから! ここ俺の部屋で、それ俺のベッドだから! じゃあ、俺もお前ここから出たらぶつから」


「DVだ! えっ、あっ、違う。監禁だこれ」


 きわどい話をする二人だった。

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