あの…手に持ってるものってもしかして…金属バットですか?
「こんにちは」
俺の背後から声がする。かわいらしい声だ。声優になればいいのに。
「あの!なんか用ですか!?」
俺が声に聞き惚れているとシカトしたのが頭にキタのか声をあらげて聞いてくる。まったく!これだから女ってやつは!
「あぁ今日から……」
振り向いて一番先に目に飛び込んでくるのはアレだ。凶器だ。普段はゲームの盛り上げ役のアレが可愛らしい少女の手に納まっている。心なしか先端が曲がっていて、………血らしきものも付着している。
そう。バットだ。
よほどぶつけたのか、ところどころへこんでいて光沢を放つはずの体は傷がつき鈍い金色をしている。黄土色(う○子色ともいう)に近いが。
その凶器から俺は目が離せない。というか離させてくれない。それというのもその凶器には名前が彫ってあったんだから。
俺が昔ゴリラ女こと麻美に奪われた全財産をだした金属バットだ。
この宝のバットを奪われて俺は野球を諦めたんだ。まぁ、サッカーに転向してからも部室に荒らしが入って部活ができた試しはないが。
振り向いた俺の顔を見て麻美は驚いた顔をする。そりゃそうか。浮浪者みたいな格好してるやつは自分の親戚でしかも餌だった男だ。まぁそれは俺も一緒だ。いじめられていたとはいえ、自分の親戚がすんげぇ美人になってて、しかも凶器を持ってるんだからな。多分鼻の下伸びてた。
「麻美………おま
「あぁ!?呼び捨てかよ!?オマエだぁ?これの仲間にされたいか!?」
可愛い顔が台無しだ。そうでもないが。あろうことか麻美は俺の胸ぐらを掴むと唇がくっつくんじゃないかってほど近づいて血管切れんじゃねぇかってほどデコをゴリゴリ押しつけてくる。顔?恐いに決まってんだろ!例えばだな、うん。まぁアレだ。
「あ…すいませんでした…麻美…様」
悔しい!何で俺が中学生なんぞに様付け!?俺は援交ダイスキ親父か!?ちくしょォ!でも顔近くて幸せだったから更に悔しい!何でそんないい匂いすんだよ!何でそんなデコ柔らかいんだよ!!
そんな風に自分を責め続けるか弱きプリンスの考えをよそにニンマリと可愛らしい笑顔をつくって悪魔の様な言葉を俺のピュアなハートに突き、否、串刺す。
「分かればいいのよ芋」
また芋かよォォォ!なんで!?俺のドコが芋っぽい!?
てか仲間ってナニ!?もしかして麻美様の後ろにある点々と横たわる死体ですか!?俺も死体の仲間入り!?いや、まだそれはわからんぞ俺!あのバットは実はプラスチックであの死体共は演劇仲間でちょうど今やられたかもしれないではないか!!!!よし、勇気を出せ俺!
「あの…麻美様!」
「何よ!?」
ものすごく機嫌が悪そうだ。でもここで引き下がるわけにはいかん!
「あの…手に持ってるものってもしかして…金属バットですか?」
麻美様はニタリと笑うと嬉しそうに一言。
「正解!」
自分で書いてて悲しくなります。展開的にラヴコメにしたいので頑張ります。評価やアドバイスを頂けると成長すると思いますのでお願いします。そして一話目長くてすみません。