表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

前編

お待たせしました、って待ってた人いるのー?!

やっと書けました。「虹色マカロン」の3原色の一角、中川碧さん視点です。同じ話なので、今後の展開はすでにネタバレしてますが、よろしければどうぞ。






3月11日、木曜日。


わたしは、母に頼まれ、祖母の好物の羊羹を買うためにデパートを訪れていた。

デパートは普段あまり訪れることのない場所だ。買い物には興味がないし、人込みも苦手、ついでに人付き合いも苦手だから、一緒に行く人もいない。

そのことを今まで淋しいと思ったことはない。わたしにとって今まで他人は常に煩わしいものでしかなかった。


大学が終ったあとの平日の午後を選んだのも、休日の混雑を避けたいと考えたからだ。

真っ直ぐに、地下のお菓子売り場に向かう。そして、和菓子売り場で目的の小豆と抹茶羊羹のセットを買い、実家への配送の手続きを済ませた。


用事は済んだ、早く帰ろう。

エスカレーターは洋菓子売り場の近くだ。

ホワイトデーが近いためか、どの店もクッキーや、ホワイトチョコレートを使ったお菓子に力を入れていて、いつもより一層甘い香りが濃い気がする。

そこで、この場所にあまりそぐわない人物を見かけた。


橘蒼祐、同じ学部の同学年で、すごい美男というわけではないが、厭味のないすっきりとした顔立ちで、運動神経抜群。性格は気さくで真面目、講義もきちんと出ていて教授陣からの覚えもめでたい、所謂ポイントの高い男子だ。


わたしは比較的彼と同じ講義が多くて、よく見かけるのだけど、あまり甘いもの好きなイメージはなかった。

パンも惣菜系のものを食べているし、コーヒーも無糖のブラックを飲んでいたから、甘いものは苦手かと思っていた。

それが、色とりどりのマカロンの売り場で真剣な表情でどれを買うか選んでいるなんて。

もしかして「隠れスイーツ男子」だったのかしら、なんとなく興味をひかれた。


「橘くん?」


彼が買い物を終えるのを待って声をかけてみた。彼が振り返る。


「中川さん・・・」


「マカロン、好きなの?」


意外そうな顔でこちらを見つめる彼に聞いてみた。


「いや、実は一度も食べたことない。これもプレゼント用だし。あ、そうだ、せっかく会ったから、これ、先月のお返し」

「あら、ありがとう。憶えていてくれたのね」


プレゼント、ああ、そうだった、ホワイトデー。渡された可愛らしい紙包みはたぶん義理でもらったチョコレートのお返しのつもりなのだろう。

でも、彼が一月前にもらったチョコレートに義理なんかほとんどない。彼にチョコレートを渡したのが誰か、わたしは知っている。皆、かなり真剣だったはずだ。

そんなこと全然気付かなかったって顔ね、能天気な人だこと。なんだかその無邪気さが憎らしいような気分になってきた。


・・・マカロンは、誰にプレゼントするつもりなのかしら。

ふと思った。


マカロンは高価なお菓子だ、学生が気軽にたくさん買える値段ではない。

それをプレゼントする相手が彼の本命なんだろう。


「橘くん、今日はこれから何か予定ある?」


自分でも、何でこんなことを言うのかよくわからない。

けれど、何も気付いていない彼に苛立っていた。少し意地悪をしたい気分だったのかもしれない。


「いや、別に何も・・・」

「そう・・・じゃあ・・・」


わたしは彼の顔を覗き込むようにしながら言葉を続ける。


「これから、わたしと付き合わない?」

「うーん、じゃあカラオケとか、ファミレス?これから友達に連絡してみるよ。中川さんが来るって聞いたら、みんな何が何でも来たいって言うだろうし」


そう言いながら彼はポケットから携帯を出そうとする。

やっぱり何もわかっていない、ますます苛立ちが募った。


「わたしは橘くんとふたりがいいなあ・・・」


そう言って微笑みかけてみた。

彼は呆然としてわたしの顔を見つめている、明らかに動揺していた。


「ねえ、どこに行きたい?なんならホテルでもいいわよ・・・」


もう、

後へは引けなかった。






今まで謎めいていた碧さんの言動が明らかに・・・。

自分の気持ちにどうも気付いてないらしいですね、碧さんは。

やっとプリズム完成、でも、もう一人参戦の予定です、新しい人ですよ、次回出せるといいなあ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ