エピローグ
数年後、陽菜の墓の前で、みんなは再び集まった。二十代後半にさしかかる明、純也、真奈。墓石は静かに佇み、周囲の木々が風に揺れる。空に一等星が輝き、夜の闇を優しく切り裂く。墓前の花の甘い香りが漂い、土の湿った匂いが足元から上がる。
俺はインディーズバンドのギターボーカルとして活動し、プロを目指している途中だった。小さなライブハウスで陽菜の曲を代表曲に歌い続けている。
ここで、ギターを手に座り、弦を弾くと、音が空気に溶け込み、陽菜の曲が広がる。メロディーが胸を震わせ、過去の記憶を呼び起こす。風が頰を撫で、甘い花の匂いが鼻腔を満たす。歌うたび、陽菜への愛が蘇り、胸が張り裂けそうになる。あの透き通る声が、俺の歌に重なる幻覚が、愛の証。
歌声が墓地に響き、星の光が墓石に踊る。言葉の一つ一つが、陽菜の笑顔を浮かび上がらせる。喉の振動が、喪失の痛みを呼び起こす。
明は弁護士として忙しい日々を送り、法廷で人を守る。クールな表情の裏で、陽菜の影響を胸に秘める。墓前で、風の冷たさが肌を刺す中、アルタイルを見上げる。
「陽菜……ありがとう。おかげで人を守れるようになった。クールにかつ適切に裁いてみせるよ」
呟き、星の光が目を照らす。法廷の厳しい空気から離れ、ここでは静かな決意が心を満たす。陽菜の言葉が、彼の仕事で弱者を守る原動力となり、過去のクールな仮面が少しずつ溶けていく。
純也は整備士としてガレージで働き、ヤンキー仲間を指導する。油の臭いが染みついた手で、拳を握る。
「陽菜の笑顔、守りてぇよ」
墓前で、手が止まり、仲間たちに「弱いヤツ守れよ」と言い聞かせる姿を思い浮かべる。荒れた過去を乗り越え、陽菜の光が彼を変えた。手紙の言葉が胸に刻まれ、強さを弱者へ向ける生き方を続け、仲間たちを変える存在になる。
真奈は美容師としてサロンでメイクをし、みんなを輝かせる。ファンデーションの甘い匂いが漂う中、動画の最後に陽菜の写真を映す。
「陽菜みたいに、みんなを輝かせたい。笑顔にできるように頑張るよ」
墓前で、涙声で締めくくり、声が震える。ギャル風の明るさが、陽菜の強がりを引き継ぐ。手紙の励ましが、彼女のサロンで顧客を元気づける源となり、陽菜の笑顔を毎日思い浮かべながら働く。
みんなの人生に、陽菜の光が永遠に残る。彼女の笑顔の温かさが、心に染み込み、墓石の冷たい感触が指に伝わる。手紙の言葉がそれぞれの道を照らし、グループの絆が死後も持続し、互いの人生を変え続ける。
風が「ありがとう」と囁くように感じる。葉ずれの音が、耳に優しく響く。
「陽菜の存在は永遠だけど、それ以上に、君の光が俺を照らす。みんなを変えた一等星……ありがとう。愛してるよ、陽菜。君のいない世界で、君の分まで生きる。君の声が、俺の歌になる。切ないけど、この愛が俺を強くする」
桜の花びらが舞い、頰に触れる。柔らかい粒子が、涙と混じり、塩辛い味を唇に残す。アルタイルの輝きが、永遠の約束のように空を飾る。
一等星の光、消えぬ輝き。
失われた恋、胸に灯る希望。
風のささやきに、君の声が響く。
永遠の夜空で、愛は生き続ける。




