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殺し屋の娘ミーナは、催眠アプリの力でイケメン王子の『婚約者』になりすまし、彼を搾取しつくします。  作者: フーラー


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1-5

その夜。


「王子、今日もお疲れさまでした。大変だったでしょう」

「いや……別にいつものことだよ」


まあ、普段あのオルニアス第二王子にさんざんいじめられていたのだ、この程度のことは平気なのだろう。


だが、私は催眠アプリで命令する。



『お風呂を湧かしたので、汗を流してください』

「え? ……ああ、ありがとう」


アンドラス王子には、大変感謝している。

サロメの奴から戦力を奪い、そして仲間を増やしてテレーズとの関係も取り持ってくれた。

やっぱり彼は、私が見込んだ男だった。


(フフフ……。けどね? お楽しみはこれからだから……)


……だが、私はまだ王子を利用し足りない。

長年狙っていた王子をようやくものにできたのだ。


身体の傷もすっかり癒えたようだ。だから、これから彼を骨の髄までとことん利用して、タップリしゃぶりつくしてやるのだ。



そんな風に想いながらも、十数分が経過した。



「ありがとう、ミーナ。いい湯だったよ」

「それならよかったです」


風呂で少しのぼせたのだろう、少し紅潮した顔をしているアンドラス王子。

少しはだけた服から見える素肌を見て、私は思わず顔を背ける。


(やっぱ、カッコいいよね……王子はさ……)


だが、私はその姿を見つめただけで満足するような、お優しいお嬢様なんかじゃない。

もっと彼のいろんな表情を見てみたい。

そう思い私は催眠アプリで命令する。



『そこのベッドに、うつぶせになってください』

「え?」


一瞬困惑するような表情を浮かべた。

あれ、催眠の効きが悪かったのか? そう思いながらもう一度催眠をかける。


『あなたは私の婚約者です。命令に従ってください』

「ああ……わかった……」

『そして、服を脱いでください』

「……ああ」



よし、今度はちゃんと催眠が入ったようだな。

そう想いながら私は彼に馬乗りになった。



ーーーーーーーーーー



「ん……あ……」

「どうですか、王子?」


そういうと、私は催眠アプリを取り出して命令する。



『もっと気持ちいい場所を教えてください』

「いいのか? ……それなら、もっと下を……頼めるか?」

「喜んで」


王子は、私の手技を受けるたびに気持ちよさそうな顔をしている。

……いい。


最高の気分だ。

王子のこんな表情を見ることが出来るなんて。……今日のために、たっぷりと練習してきて良かった。


そう思いながら、私は王子の身体を裏返した。

ここからが本番だ。

私は舌なめずりをしながら、獲物を狙う鷹のような表情でぽつりと呟く。



「王子? ここからは少し痛いですが、また気持ちよくなりますよ?」

「あ、ああ……」


そういうと私は手に力を込める。


「が……!」


思わず王子は足をピンとひきつらせた。


「あ……うぐ……!」

「痛いですよね? やっぱり。……けど、これならどうですか?」

「う……!」

「ここか……気持ちいいのは!」

「あ、ああ……いや……けど……ん……」

「表情が変わりましたよ? ……これがいいんですよね、王子は!」

「う……。あ、ああ……そうだ……もっとしてくれ……」


やった!


ついに、王子から『もっとしてほしい』という要求を引き出した。

本当に自分の欲求や願望を言わない王子が、ようやく私を求めてくれたのだと思うとたまらなくうれしい。


そういわれた私は力を込めながら、王子の足の裏をギュっと押す。



……そう、私が今やっているのは凝りほぐしのマッサージだ。特に私は足つぼマッサージには絶対の自信がある。




「ぐ……! そこ……!」


やっぱり、ここが気持ちいいか。

王宮にいたころは、単に執務や会食だけでなく、掃除に洗濯といった雑務から、大量の資料整理のような嫌がらせのような仕事までやらされていた。


無論その大半が、オルニアス第二王子の嫌がらせによるものだが。

そのストレスが、この足の裏の固さだけでも十分すぎるほど感じられた。



(しかも、今は私にこうやって利用されているんだからね……)


そんな地獄のような王宮から、今度は『元殺し屋の娘の家で、性悪女と暮らす』という別の地獄に来たのだから、王子も気の毒だ。

そう思いながらも、足が少し柔らかくなったのを確認した後に椅子を引き寄せた。



「それじゃあ、そこの椅子に腰かけてください」

「わかった」



そういうと私は、肩から背中にかけてゆっくりと体を揉みほぐす。

気持ちよさそうにする王子を、こうして特等席でゆっくりと眺める。



(フフ……たっぷりと、王子の幸せそうな顔を拝んでやりたかったんだよね……)


これこそ、初めに逢った時からずっと、王子にやりたかったことだ。

そう思いながら、私は王子の耳元で囁く。……催眠アプリの力がなかったら『気持ち悪い、なにすんだ!』とキレられていただろうな。

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