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殺し屋の娘ミーナは、催眠アプリの力でイケメン王子の『婚約者』になりすまし、彼を搾取しつくします。  作者: フーラー


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15/25

3-1

それから数週間が経過した。

私は昼食を食べながら、クラスの中を見回した。


(今のこのクラスを影で糸を引いているのは私なんだよね……)


そんな風に思いながら、自分の掌の上で生徒たちが踊っているのを見ているようで、どこか楽しい。


「なあ、ランド? 今日もサッカーしようぜ?」

「ちょっと待ってよ! ランドは私たちと遊ぶって話だったでしょ?」

「はあ? 昨日もそういってランド借りただろ? たまにはこっちのいうこと聞いてくれよ!」



相変わらずアンドラス王子は引っ張りだこだ。

先日の盗賊の一件がクラスに知れ渡ったこともあり、それがきっかけで彼の株がさらに上がったことも原因だろう。


そのグループの中にはマリアもしっかりいる。彼女もすでにグループの中に溶け込んでいるようだった。


(流石ですね、アンドラス……。本当は私もあの中に入りたいけど……しょうがないよね……)


あまり学内ではアンドラスと一緒にいるのは恥ずかしいし女性側の嫉妬を買う可能性も懸念したこともあり、難しい。

そう考えながら隣を見ると、もくもくと漫画を書いている二人を見かけた。



「あの、ミリアムさん……次のコマなんだけど、もう少し大きいほうがいいんじゃない?」

「え? ……確かに、そうかもしれないわね……うん、やってみるよ」


学校に復帰したゼパル君とミリアムさんだ。

彼らは二人で漫画を描くようになって、合作を始めた。原作に加えてベタやホワイトはゼパル君、作画はミリアムがやっているようだ。


無論私やアンドラスが仲介役になることで、よくある恋愛トラブルなども起きないように気を遣うように指示しているのだが。


そう思っていると、隣からルチナがおずおずとテレーズに声をかけているのを見かけた。


「あの、テレーズさん……」

「なに?」

「最近弟の咳はだいぶ良くなったんだけど……。まだ微熱が出るみたいなんだ。それで、なんかいい食べ物とかある?」

「そうね、それなら……」



ルチナはあれからランドを仲介役にして、食べ物に関する見識が深いテレーズと話をする機会が増えた。


無論、ルチナはもとはいじめ加害者だった。

だが、彼女は気が弱くサロメに従わなければならない立場だったこと、そしてサロメがいないところではそれなりに優しくしてくれていたこともあり、テレーズはそのことは水に流してくれた。


(フフ、作戦通りね……ただ……)


そう思いながら私は窓際の席をチラリと見た。


「はあ……」


底ではサロメがため息をつきながら、一人で昼食を取っているようだった。

私はそれを見ているとテレーズが声をかけてきた。


「どうしたの、ミーナ?」

「あ、うん。サロメは最近一人でいるのが寂しそうだなって思って」

「フン、自業自得でしょ? いっとくけど、私は絶対あの女とはご飯食べたくないから!」


そう強い口調でテレーズは答えた。

……うん、それは分かる。テレーズはいじめの被害者側だったからだ。

その気持ちを否定するつもりはないが、私はこの後恐れていることがある。



(けど、これ以上放置するとまずいか……)


テレーズの表情が、少しずつ前とは変わってきていることを感じ取っていた。

以前は、彼女に対して単に嫌悪感を示していただけだったが、サロメが孤立するようになるにつれて、その様を楽しむような表情をするようになってきたからだ。


それは、他のクラスメイト達も変わらない。幸いなのは、アンドラスだけは彼女を心配そうに見つめているところだが。


彼女が逆にいじめの被害者側になるまで、後2週間もかからないだろう。



(うん、やっぱりサロメは排除しないとダメだな……)



私は、あの殺し屋である母の娘であり、常にエゴのために動く女だ。

だから、嫌いな女を学校から排除することはいとわない。


それに、自分さえよければ他人などどうなっていい。だから、テレーズやゼパル君達が『加害者側』になりたいと思っていたとしても、私がそんなことをさせる気はない。……もう、殺し屋だった母みたいな人間は見たくないからだ。


(そう、私は悪女なんだから、自分のしたいことを貫くだけね……)


そう思いながらも、私は計画を最終段階に移すことを決めながら、黒パンを口に運んだ。

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