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『騎士団で目立たなくて地味な後方支援係の俺。実はサイコパスで隠れて犯罪人を裁いています。アレ?俺また殺っちゃいました?』

 ■ 第一章 地味な日常


「おはようございます、レイン君」


 いつものように、騎士団本部の後方支援課に足を向けると、同僚のマリアンが明るく声をかけてくれた。


「おはようございます、マリアンさん。今日も一日よろしくお願いします」


 俺——レイン・クロウフォードは、いつものように人懐っこい笑顔で応えた。騎士団では書類整理や物資管理を担当する、まさに縁の下の力持ち的存在だ。


「相変わらず真面目ね。でも最近、街で不審な失踪事件が続いているから気をつけなさいよ」


 マリアンの言葉に、俺の口元がわずかに上がった。もちろん、彼女には気づかれないように。


「そうですね。物騒な世の中です」


 内心では別のことを考えていた。昨夜のことを——。


 ■ 第二章 夜の仕事


 三日前の夜。俺は街の裏路地で、一人の男を見つめていた。


 トマス・ベルガー。表向きは商人だが、実際は人身売買に手を染める外道だ。騎士団の捜査網をすり抜け、証拠不十分で野放しにされている男。


「法では裁けない悪を、俺が裁く」


 これが俺の信念だった。


 トマスが薄暗い倉庫に入っていくのを確認し、俺も後を追った。中では、檻に入れられた子供たちが震えていた。


「やはりな」


 俺の中で何かが冷たく笑った。この瞬間、俺の中の「もう一人」が目を覚ます。


 普段の温厚なレインではない。計算高く、感情を持たない、完璧な捕食者としての俺が。


 トマスは俺の存在に気づいた時には、もう遅かった。


「騎士団の——!」


「残念。今夜の俺は騎士団の人間じゃない」


 俺は静かに微笑んだ。その笑顔には、一切の温かみがなかった。


 ■ 第三章 完璧な偽装


 翌朝、トマス・ベルガーは行方不明として報告された。


「また一人、街の商人が消えたそうですね」と、俺は同僚たちとの雑談で言った。


「最近多いですよね、こういう事件」


「そうなのよ。でも不思議なのは、消えるのは評判の悪い連中ばかりなのよね」マリアンが首をかしげる。


「偶然でしょうか?」


 俺は疑問符を浮かべて見せた。内心では、自分の仕事の精度に満足していた。


 トマスの場合は、借金取りの恨みを買ったように見せかけた。彼の帳簿を巧妙に改竄し、複数の悪徳商人から金を借りていた証拠を残した。きっと騎士団は、債権者同士の争いか、借金苦による逃亡と判断するだろう。


 実際のトマスは——。


 いや、それは考えないでおこう。俺にとって重要なのは、悪が排除されたという事実だけだ。


 ■ 第四章 内なる怪物


 その日の午後、俺は騎士団長のガルス卿に呼ばれた。


「レイン、君は事務処理が得意だったな」


「はい、ガルス様」


「実は、最近の失踪事件について調査資料をまとめてもらいたい。君の几帳面さなら、きっと見落としがないだろう」


 俺は内心で笑った。自分の犯行を自分で調査することになるとは。


「承知いたしました。必ず真相に辿り着いてみせます」


 その夜、俺は調査資料を眺めながら、次のターゲットを物色していた。


 リスト上にある名前——ダミアン・グレイ。孤児院の院長でありながら、子供たちを虐待し、時には「商品」として売り飛ばしている男だ。


「君の番だな、ダミアン」


 俺の瞳に、冷たい光が宿った。


 ■ 第五章 狩りの夜


 ダミアン・グレイの処分は、特に入念に計画した。


 彼には多くの敵がいた。虐待された子供たちの親族、不正を嗅ぎつけた騎士団の若手、そして彼に金を貸している闇金業者たち。


 完璧な偽装のため、俺は三週間をかけて準備した。ダミアンの行動パターンを調べ上げ、彼の弱点を洗い出し、そして——彼が最も油断する瞬間を見つけた。


 月の出ない夜。ダミアンが一人で街外れの廃屋に向かう夜だった。そこは彼の「特別な商売」の現場だった。


「こんばんは、ダミアン院長」


 俺は暗闇から姿を現した。この瞬間の俺は、もはや昼間の温厚なレインではなかった。


「誰だ!騎士団か?」


「さて、どうでしょうね」


 俺は静かに微笑んだ。その笑顔は、まるで肉食獣が獲物を前にした時のようだった。


 ■ 第六章 もう一つの顔


 翌日の朝礼で、ダミアン・グレイの失踪が報告された。


「昨夜、孤児院の院長が行方不明になりました」騎士団長が深刻な表情で告げる。「現場には争った形跡があり、血痕も発見されています」


 俺は適度に驚いた表情を作った。


「まさか...院長が?」


「実は、彼には多くの恨みを買う理由がありました」調査担当の騎士が続ける。


「孤児院での虐待、不正な資金運用、そして——」


「そして?」


「人身売買の疑いです。彼を狙う動機を持つ者は、数え切れないほどいます」


 俺は内心で満足した。完璧な偽装だった。ダミアンの失踪は、彼の悪行を恨む誰かの仕業として処理されるだろう。


「可哀想に...院長も被害者だったのかもしれませんね」


 俺の言葉に、周囲の騎士たちが頷いた。誰も、この温厚で真面目な後方支援係が真犯人だとは疑わない。


 ■ 第七章 狩人の論理


 その夜、俺は自室で次の獲物のリストを眺めていた。


 汚職騎士のバルドー。

 奴隷商人のヴィクター。

 児童を狙う変質者のエドガー。


「法で裁けない悪を、俺が裁く」


 これは正義ではない。俺にそんな崇高な感情はない。


 これは俺の本能だった。悪を見つけ、狩り、排除する。それが俺という存在の本質だった。


 昼間の俺は仮面だ。温厚で人当たりが良く、誰からも愛される後方支援係のレイン・クロウフォード。


 しかし夜になると、俺の本当の顔が現れる。冷徹で計算高く、完璧な殺人鬼としての俺が。


「アレ?俺また殺っちゃいました?」


 俺は自分に向かって呟いた。それは本当の疑問ではない。俺は常に意図的に行動している。


 ただ、時々思うのだ——俺は怪物なのか、それとも必要悪なのか?


 ■ 第八章 新たな狩り


 翌週、俺の元に新しい情報が舞い込んだ。


 騎士団内部に、情報を犯罪組織に流している裏切り者がいるという話だった。その人物の正体は——俺の直属の上司、ハワード副団長だった。


「これは興味深い」


 俺は資料を眺めながら呟いた。今度の獲物は騎士団の内部にいる。これまでで最も困難な狩りになるだろう。


 しかし同時に、最も興奮する狩りでもあった。


「さて、どうやって料理してやろうか」


 俺の瞳に、危険な光が宿った。


 ■ エピローグ 仮面の下


 数ヶ月後、街の治安は劇的に改善された。


 不審な失踪事件は続いていたが、消えるのは決まって悪名高い人物ばかり。市民たちは、見えない正義の使者の存在を囁くようになった。


「最近、街が平和になりましたね」マリアンが俺に微笑みかける。


「そうですね。きっと正義感の強い方がいるんでしょう」


 俺は人懐っこい笑顔で応えた。この笑顔の下に隠された真実を、誰も知らない。


 俺——レイン・クロウフォードは、昼は温厚な後方支援係、夜は冷酷な狩人。


 そして今夜も、新しい獲物を求めて街を徘徊する。


 法では裁けない悪を、俺の手で——。


「アレ?俺また殺っちゃいました?」


 暗闇の中で、俺は静かに微笑んだ。

プロンプト

「『騎士団で目立たなくて地味な後方支援係の俺。実はサイコパスで隠れて犯罪人を裁いています。アレ?俺また殺っちゃいました?』。このタイトルを元になろう異世界ファンタジー短編小説を書いてください。デ●スターをサンプリングしています。元ネタの設定を生かしつつ、なろう小説的な仕上がりにしてください。ところどころで違法なことをしているかなりダークな描写とアングラな雰囲気でお願いいたします。主人公は表向き人当たりがよいまともな人間である描写とサイコパスな側面を持つ描写を中心に書いて下さい。さらに彼が起こす裁きもみな不思議に思いつつも同一犯だと思われない失踪や怨恨かと思うような巧妙な手口である描写で書いてください。」

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