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猫宮瑠璃編epilogue

『猫宮瑠璃編』の零視点のお話はこれで終わりです。『猫宮瑠璃視点』のその後の話を挟んだ後、『王立魔法学院試験編』が始まります。


 一先ずは皆様、ここまでお付き合いくださりありがとうございました…!!

「零、待たせたのじゃ」

「いいえ。それよりも話って……」

「…まずは入るのじゃ」


『謁見の間』を出た後、零夜お父様と真里は先に『忠犬騎士団』達と共に王城のエントランスへ向かった。その結果、私は1人で奏音が来るのを待っていると『くっ……殺騎士』隊長と共に奏音が足早に私の元へ訪れる。


「……我々はここで失礼致します」


 奏音が『忠犬騎士団』達へ目配せすると、彼等は、即座に察したのか移動を始め出す。


「ま、また後でじゃ」

「……我が君、いつでもお待ちしております」

「ば、ばか者……」


 今まではそんなに察しが良くなかった『忠犬騎士団』に対して、呆れていたはずの奏音が彼等に労いの言葉を掛けている。


 奏音の言葉に満面の笑みで頷いた『くっ……殺騎士』隊長に照れているらしい。


 ———すごくいい感じっ!!


 軽く『くっ……殺騎士』隊長にウィンクすると彼女は満面の笑みで私へこくりと縦に頷く。


「ゴホンッ、それじゃ余達は大事な用事があるのじゃ」


 そんな私と『くっ……殺騎士』隊長の様子を見たのか、奏音がやや強引に私の腕を引っ張り奏音の私室へと招かれることとなった。


 …

 ……

 ……………


「とりあえず、こっちに来るしー!!」

「あ、うん」


 奏音の部屋へと足を踏み入れると、以前に訪れた時と特に何も変わらない様子だった。


 そして、疲れたと言わんばかりに奏音は自分の大きなベットの方へ寝転がる。その後、やや怒った声をしながら、私をベッド付近へ呼ぶ。


「詩織、灯火に入れ知恵したしー!!」

「あ、バレた?」

「バレバレだしー!!!……まぁ、その点に関してはあーしも悪い気はしないから許すんよー!!」

「すんごーくデレデレだったね?」

「次言ったら………」

「すみませんでしたっ!!」


『くっ……殺騎士』隊長に入れ知恵した事は奏音にどうやらバレバレだったらしい。


 だから、少し奏音を挑発してみると奏音の背後に見えないはずの漆黒のオーラが見えてしまったため、すぐに謝罪をする。


「それで私を呼んだのは?」

「本当は『猫宮瑠璃攻略』の反省会のつもりだったんよー。でも、あの後、陛下よりやばい情報が入ったんよー」

「私達が退室した後の話し?」

「まだ確証がないから極秘の情報なんだけど、詩織には話しとくんよー…」


 確かに、今回の『猫宮瑠璃攻略』はお世辞にも完璧とは言えない物だった。色々反省する所はあると思う。ただ、それよりも奏音の『やばい』という情報が気になった。


「落ち着いて聞くんよー………『聖剣の刻印』を持つ勇者が現れたらしいんよー!!」

「………え」

「そいつの名前は『光朝雷(こうちょうらい)』って名前で『平民』の出身らしいんよー。……率直に聞くけど、詩織はどう思うんよー?」

「えと……」


 その言葉を聞いた瞬間、全身に錘がのしかかったような『倦怠感』と『恐怖心』が生じる。


 ————奏音の質問に答えなきゃ


 頭ではそうわかっているはずなのに、口が開こうとしない。それだけでなく、目の前にいる奏音から視線を逸らそうとした。


「まっ、こうなると思ってたから先に言ったしー……ほら、詩織、あーしの眼を見るんよー」

「っっっ!?」


 奏音に両肩を強く掴まれて、視線が強制的に合う事となる。


「例え、『本物の勇者』が現れたとしてもあーしはあんたを選ぶんよー」

「なん………で」


 ———なんでこんなに怯えているんだろう

 ———奏音が裏切るはずがない

 ———それなのに私はッッ


 自分の頭の中で『前世のトラウマ』がフラッシュバックする。

 

『南雲、お前はまた裏切られる』

 ———出てこないでっ!!

『本当に逃げてばっかり…』

 ———逃げていない!!

『お前じゃ『陽キャ(勇者)』になれない』

 ———分かってるよ!!!



「詩織っっっ!!『過去』を見るんじゃなくて目の前にいるあーしを見るんよー!!」

「……………っ!?どうして分かったのっっ!?」

「……あーしにだってあるから分かるんよー」


 聞こえないはずの幻聴に囚われそうになった私を奏音の強い声が引き戻してくれる。


「ごめん……。もう大丈夫。切り替えるね」

「やっと、いつもの詩織に戻ったしー?それより、『猫宮瑠璃』の反省会なんよー…」

「概ね上手くいったけど、想定外だった『腹黒メガネ』に持ってかれてしまった事かな?」

「久しぶりに聞いて思い出したしー!!確か、『鈴代公爵』はそんな愛称だったんよー…」


『鈴代公爵』の愛称が『腹黒メガネ』である事は『正統派』や『噛ませ犬派』のような特殊派閥を問わず浸透している。


 それ程までに『メインルート』でも『特殊ルート』でも共通して厄介な存在なのだ。


 話を戻そう。


 結果から言えば『ファッキン陽山侯爵』には快勝したが『腹黒メガネ』には敗北を喫した。


 今回の『猫宮瑠璃』攻略の評価を表すならばこんな感じだと思う。


「なぜ、『腹黒メガネ』は介入を……」

「あーしは『ファッキン陽山』を焚き付けたのが『腹黒メガネ』やと思ってるんよー」

「でも、焚き付ける動機って……」

「零とあーしへの『復讐』なら分かるんよー」

 ————『復讐』?


 前世の『恋クリ』ならばまだしも、『復讐』される程の恨みを買った覚えは………


「あーしと詩織はどこで会ったしー?」


 奏音の続きの言葉で思い当たる節が1つあった。ただ、アレは『僕ちん』を潰しただけで、『陽山侯爵』には実害はないはずだ。


「詩織の中でそこまでって思うかもだけど、貴族ほど面子を気にする生き物はいないんよー」

「じゃあ、まさか『腹黒メガネ』が『ファッキン陽山侯爵』を焚き付けたって………」

「あーしの動きがマークされてたんよー…」


 奏音は定期的に瑠璃の方を気にかけていた。それを『腹黒メガネ』がキャッチした。


 そして、『ファッキン陽山侯爵』の派閥が衰退している事に目をつけた『腹黒メガネ』が『猫宮瑠璃』に関する情報と引き換えに、『ファッキン陽山侯爵』に行動させる。


 そうすることで、『ファッキン陽山侯爵』には復讐を果たして、『腹黒メガネ』は私達に対して『猫宮瑠璃』を脅しに使える。


 だから、先程の『謁見の間』で介入したのは、せめてもの『意趣返し』だった。


 ———これなら確かに、筋が通る。でも、遠回りをしているような……


「うーん…でも、『ファッキン陽山』を使う理由がわからない気が……」

「詩織、相手が『腹黒メガネ』ってこと忘れたらだめなんよー」

「………確かに、そうだった」


 奏音の言葉にはっと気付かされる。相手はあの『腹黒メガネ』だった。……敢えて、遠回りをしたのは自分の足が残さないためだろう。


「………まっ、これに気づいたとしてどうにもならないことなんよー…。それで、改めて聞くけど『勇者』をどう見るんよー」

「私の勘でしかないけど……『勇者』はもうすぐ、開催される『王立魔法学院試験』にくる」

「あーしも同意見なんよー…。そう言えば、『王立魔法学院』の試験対策はしてるしー?」

「…………『短剣』を燃やしてみたり、凍らせてみたりとか色々と」


 奏音に『こいつ、終わった』と言わんばかりの可哀想な生き物を見るかのような視線を送られる。でも、私に出来ることは『短剣の召喚』のみのため、仕方がないと主張したい…。


「『恋クリ』って『王立魔法学院入学後』が舞台だったよね?」

「だから、あーしも試験は初めてなんよー」

「奏音も試験の内容を知らないの?」

「………………あーしってほら、『魔法』の天才だしー?」

「絶許!!!!絶許!!!!!調べてなかっただけだ!!」


 私の質問に目を逸らしながら答える奏音の様子を見て、問い詰める。


「ごめんだしー!!とりあえず、次会う時は、『王立魔法学院』なんよー」

「うん。改めて仕切り直すけど、これからもよろしくね?」

「それは、こっちこそなんよー」


 私が右手を差し出すと、奏音も私の右手に自分の手を重ねてくれる。


 その後、お互い笑顔で縦に頷きあった。



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