『穴』引き裂き
っき とも っぎ ともいえない、
なにかがきしむようなぞっとする音がした気がした。
タクアンがコウドの腕を後ろにひき、さがれ、と命じる。
宙に三本突き出た黒いものに、さらに一本加わると、それぞれにはげしくうごめいて、それのかたちがはっきししだす。
かたちをなしたその太い棒は、一本ずつ身をおりまげ、先にある頭になると思った部分についた硬そうな『何か』の正体に、コウドはようやく気がついた。
「・・・ちがう・・・ありゃあ・・・、 」『ツメ』だ、といいきるまえに、そのとがった爪をつけ、うごめいていた『指』が、四本そろって『穴』の《ふち》をつかむと、一気に上へとひきあげた。
ごおおううううう
うなった風が黒い雲のようなものを運び込み、セイテツが張った氷が無数にひびわれ、地だけではなく、《この世》がゆれた。
『穴』だったところには、それをつかんで《引き裂いた》指から手、手首から肘があらわれだすと『穴』はさらにひろがり、揺れていた地面がじょじょにもりあがり張っていた氷を砕きちらすと、割れた地の中から、肘の上の、腕から肩までがあらわれた。




