セイテツとびこむ
コウドがわらって、ではおれがさきに、ととびあがる。
腹から下を鱗にかえながら『穴』から出ようとしているそれが、口をあけてコウドを喰おうと身をのばす。もはやその顔は人のような形を捨て、鼻先がひらたくのび、目ははなれ、首から下も太くかわり、蛇のようにかわっている。
「それでも髪が残ってるとか、ケイテキの写しの執念だな」
じぶんを笑わせようとしながらセイテツが光る両手をふり、コウドにとどきそうだった蛇の口先に無数の針のような氷をはなった。
っぐっぎょヲヲヲおおおお
口の中にもささったそれをいやがるように首をふり大口をあけた《蛇》が上をむいたとき、壁をけって間合いをはかったセイテツが、そのまま口へとびこんだ。
間をおかずにコウドが《蛇》の首に飛びつくと、取り出した紐を首にまきつけ、あたまのほうへとよじのぼり、コウドと目をあわせようとする片目をクナイでつく。さけんでくるしげにのたうつ《蛇》のあたまの一か所がふいにもりあがると、皮をやぶって鹿の角がとびだした。
それをみた、タクアンが下で経をうたいだす。




