ホムラだ
シュンカは、ワギョク将軍のからだが、天井にとどきそうなほど高くとんで浮いているのをみた。
力をなくしたその《黒いからだ》がつぎには一瞬でおおきくふくらみ、そのまま限界まで膨らみ続け、ただ宙にある黒いものとなり、スザクの舌をうつ音が合図だったように、破裂して、《黒い穴》となった。
「 ―― ありゃ・・・」
破裂してできた《黒い穴》からでた、もとの《黒》とはちがう《黒色》をした長く太いものは、にょきりと伸びると、その先についた『手』をひろげて空をかき、目にしたコウドが言葉をうしなう。
「おい、領民はどこにいる?」
スザクがコウドの足元で震えながら上をみあげている兵にきく。
「や、山神がまだ生きている山のふもとに。神官たちとともに逃げております」
「なら、おまえら残りの兵もそこへ行け。 ―― どうやらこりゃあ、おれたちで始末しねえとならねえモンらしい」
スザクが首をかきながら、なあテツ、と相方へ声をかける。
空をかいている太い腕は、覚えのある『気』を発している。
「 ―― ホムラだ。くっそ」
これに、コウドとシュンカが腕をにらみあげた。
「おれが先にこの城の屋根にかかってる術をはがす。あいつに『境』をねじまげて常世のくににつながるように変形させられると面倒だ」
セイテツの両手はまぶしくひかりだしていた。
申し訳ございません。ホムラうんぬんについては、《鬼哭》などひろって読んでみてください。。。




