おれたちもいれてくれ
「 ―― あ~あ、 まったく 」
のびをするようにたちあがったタクアンが、シモベの背からとびおりると、落ちたまま燃えている薪をひろい、伏した兵の肩をひきあげ、手ににぎらせた。
「 ほら、顔をあげろ。なんだよ。まだこんな若い兵じゃねえか。 まったくなあ。『勝手な生き物』のせいで血まみれになってる『ものずきな』シモベといい、北の将軍は、ずいぶんと世話のかかる将軍だな。 ―― もっとはやくに、せめて高山にでも申し出りゃいいのによ」
「タクアン殿、それは無理だ。なにしろケイテキは西の将軍だ。高山だって政がからんだところには、でてこられないのを知っているからこそ、ワギョク将軍も申し出られなかったのだろう。いや、おれは北の兵士たちがうらやましい。将軍というのは、このように民をまもってこそだ。そしてその手助けをするのが兵士としてのつとめ。 ―― おれはあのケイテキにつかえていたことを腹の底から悔やんでる、元西の軍人でな。北の兵士とおなじように働くんで、どうか、いまからつかってくれ」
コウドがタクアンに立たされた兵の前にたち、頭をさげた。
「じゃあ、そこに、おれたちもいれておいてくれよ。坊主が二人に従者が一人。それと、元神官だ」
セイテツがシモベにもたれかかりながら片手をあげた。
まだシモベの背にのったままのスザクがとなりのシュンカの頭をたたき、こいつもおとりにつかえるだろ、というのに、がんばります、とシュンカがこたえる。




