別の世からきたミカド
申し訳ございません。『 剥奪 』からのつづきとなっておりますので、《ウツワ》うんぬんは、そちらのほうをひろい読みしてください。。。
「え?だって、あのとき帝が、貸しをつくりたいっての、みえみえだったけど」
「そお?まあ、ぼくらとしても帝に借りをつくったところで、どうってことないし、もちつもたれつ、な関係だしね」
ひさかたぶりに坊主と絵師に会ったホウロクは、ふたりをまねきいれた建物の、わらをしきつめた床に座った。まだ新しい屋根も壁もあるそれは、サモンたちに作ってもらったねぐらだという。
壁際でゆったりと目をとじて休む、黒鹿本来の姿のままの仲間をしめし、こんどあのこたちがこどもをうむんだ、とほほえんでつづけた。
「 ―― あのね、こう言ったらわかりやすいかな。 大臣たちはぼくらと友達になれるけど、帝はなれない。なぜなら、帝は この世の者 ではないからね」
ホウロクのむかいにすわるセイテツが、それはわかるけど、とあぐらをかいた膝をうつ。
「あんな『力』持ってるなんて、たしかに《この世》のもんじゃないだろうけど・・・」
「そうなんだよ。帝は、『別の世』からここに来たものだから、ぼくらのこの世には《相いれない》んだ。 そこで、この世にとどまるための《ウツワ》が必要になる」
「ああ、いまのウツワってのが、ジュフク殿の弟ってことだろ? ようは、ここに『とどまる』ために、他人のからだが必要ってことか?・・・それじゃあまるで・・・」
他人をのっとっていったケイテキを思い浮かべ、スザクと目をあわせる。