ようやくみえた姿
なんだって!?とセイテツとコウドが身をのりだす。
ケイテキの中身が、《医者のチサイ》としてシュンカのそばまできて、コウドの仲間たちを殺し逃げていったときにつかった《術》は、剥いだ顔を他人につけ、からだを乗っ取り移るという、おかしなものだった。
「じゃあ、あんたもケイテキに顔をつけられたのか?血は?あいつの《術》でつけられたなら、そこから腐るぞ」
コウドが心配そうに立ち上がる。
「いいや。血やなにかはつけられていない。ただな、―― 」
そこできゅうに暗がりから現れた兵が、そばのかがり火から薪に火をとり、声のする奥へとむかった。
ようやく、ワギョク将軍の姿が、ぼんやりとみえた。
どうやら地べたにそのままあぐらをかき座っているようだが、なんだかおかしかった。
薪をてにした兵が、そのそばに片膝をつきひかえるが、からだがふるえているのがわかる。
「・・・なんだ?・・・おい、どうした?あんた、・・・おかしな術をかけられてるのか?」
コウドがシモベの背からおりた。
「まだおりぬほうがいいぞ」
「いや、ワギョク将軍、なんだかあんた、 ―― からだが、おかしい」




