つながった穴がある
かがり火しかないというのに、シモベの下からこちらの足元にのびた『黒い影』があるのに気づき、シュンカを抱えようとしたが、黒い影のほうがはやかった。
「 スザクっ!!とれっ! 」
シュンカにまきついた黒い影に札をなげつけたタクアンが、あとは任せたとばかりに呼んだ男は、札がはじけるのと同時に影からシュンカをとりかえしてシモベの背にとぶ。
同じく背にとびのったタクアンがすばやく綴ったものでシモベの背のうえに、あたらしい『結界』をつくりあげた。
コウドは足元からつぎつぎにのびてくる《影》に投げつけるクナイも尽き、セイテツのつくりだす氷のクナイで追いはらっていたが、きりがねえよ、と逃げるようにタクアンがつくった囲いの中へころがりこんだ。
「どういうことだ?この下がもう、とこよのくにとつながってるってことか?」
おいはらってもおいはらっても、きりがない。
「ああ、そうだ。《常世のくに》とつながった穴がある」
また、ワギョク将軍のわらいをふくんだ声がひびいた。
「わかっているだろうが、この北の領土に、逃げてきたケイテキの中身が身をひそめている。 ―― おまえたち、それをとらえにここにきたのだろう?」




