表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとぎばなし ― ここまで ―  作者: ぽすしち
南の領土

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/146

どうにかごまかし


 そういやたしか、南はもう何代も同じ家系の将軍だよな、とスザクがいうのに、そりゃめずらしい、とコウドが腕をくむ。

「あとをめぐっての戦も内輪もめもないってことですかい?」

 小声でスザクにきくと、もめはしますが、と近くのニグイがわらった。


「これ、ニグイ、そんなはなしはいい。お客様たちを立たせたままで失礼だぞ。はやくあちらのテーブルへご案内すればいいだろうに」

「こりゃ失礼いたしました。では、あちらのテーブルへみなさまどうぞ。ルイシクさまは歩くのも遅いので、ゆっくりお待ちください。わたしはお茶の催促をしてきます。 ―― お茶菓子はどうするかね?いつものでいいのか?」


 いきなりくだけた口調で将軍をふりかえるニグイに、ルイシクが「果物がいいんじゃないかね」とかえす。わかった、と元きたほうへ消える背を見送っていると、ようやく近づいてきた将軍が、ニグイはわたしの甥でしてね、と照れたように口にした。

「あんなふうに見た目もいい男で、からだもしっかりしてる。ほんとうはあいつが将軍になればよかったのに、まだ年が若いからなんて自分でいって、こちらにそれを押し付けたんですよ」

 いやなやつでしょう?と嬉しそうにわらうルイシクは、近くでみてもとても細くて、動きもゆっくりで、声にも張りがなかった。

「どこも悪くはないのですが、子どものころからあまり骨も肉も育ちませんでね。すこし疲れやすいぐらいなので、ふつうに将軍の務めはしておりますが、民の前にでるときには、からだが大きく見えるように派手な色の布で大きく仕立てた着物を重ねて羽織って、絢爛豪華な玉座にすわり、それを兵にかついでもらうんですよ。けっしてそこから降りず、言葉はわたしがニグイに耳打ちして、代わりに伝えてもらって・・・」それでどうにかみかけをごまかしております、とテーブルにたどりついた将軍は、ため息をおとすように腰も椅子へとおとす。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ