高山(たかやま)からの沙汰
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三月ほど前、病に伏していた西の将軍ケイテキが、禁術をつかって医者のチサイに《はいりこみ》、色街へもぐりこんで、シュンカから『気』を吸い取り、逃げ去ってから、やはり、異変がはじまった。
どうやら逃げたケイテキは、もともと将軍に戻る気もなかったようで、療養していたいくつものケイテキの《写し》がすぐに消えた。すると将軍の次となろうとする者どうしですぐに内乱がおこり、噂は他の国にもすぐにひろまり、北の将軍は、西の領地を狙って攻め入るのではないかと思われた。
下界で、戦がはじまってしまった。
だが。
そこで、高山が動いた。
『 西の領土は、将軍のふりをしてこの地をおさめていたケイテキによって呪いの術がかけられており、それを清めねば、この地に住まう者、足を踏み入れたもはみな、死が待っている。すでに西に住まう者たちは帝の《くちだし》によって、ほかの領地へでられぬこととする。領地の《清め》は大掛かりなものとなり、弐の大臣や参の大臣の持つ秘薬も必要となるため、天宮にうかがいをたてねばならぬ。沙汰をまて 』
この宣言で、内乱をおこしていた者たちも騒ぎをやめ、おとなしく次のしらせをまつしかなくなった。