よく言った
「 ―― じゃあ、その、ケイテキっていう将軍も、けっきょくまだ中に、元のケイテキがいるってことですかい?」
そこでセイテツは、ああ、と息のような声をもらしてしまった。
そうだった。
コウドは中をのっとられたチサイや、仲間のミノワが、《ウツワ》にされたのちに、自分をとりもどした瞬間を、じかに目にしているのだ。
「チサイ先生だって、ほんとうはやりたくねえことをやらされてたんだ。その将軍も、もしかしたら・・・」
「おれは斬る」
いきなり断言したのはスザクだった。
「迷えば隙ができる」
「おい、スザク、」
セイテツがそれ以上言うなと目で伝えるが、「べつに責めてるわけじゃねえ」とあっけなくかえされる。
「コウドは義理がたい男だからそんなこと考えるんだろ。おれはそういうのがわからねえから、もしケイテキの本当の中身が顔をだしたとしても、かならず斬るってだけだ。テツだって、ケイテキがいきなり別の人間の『気』をもらしながら泣きながら命乞いしてきたら、すぐには潰せねえだろう?」
「そんなこと・・・まあ、・・・」
妖物をあいてにするように、感情もはさまず潰せるだろうか?
「だからおまえらが迷ったらおれに斬らせろ」
サモンがまるで身内をほめるような顔で、よく言ったなスザク、と微笑むのに、なぜそんなことをいわれるのか理解できない坊主は眉をしかめたままだった。




