いつから中に
赤ん坊は、ここで神官から《祝福》をうけるんだ、とサモンが愛おしそうにくちにして、神官の職をとりあげられた絵師に、セイテツは今でもできるのだろう?とうらやましそうにきく。
なあ、と椅子にあぐらをかくタクアンが、テーブルにひろげられた地図をにらみながら、首をかたむけた。
「 ―― にげてきた《ケイテキの中身》ってのが、西を拠点にしたってのは、ここのすぐそばに『黒森』があるのも関係してるんだろ?なにしろ領土にしてたくらいだ。つまり、この世で肝心な場所をさきにおさえようって考えたんだろうが、そりゃ、将軍になる前から考えてたってことか? その『中身』ってのは、 ―― いつ、ケイテキの中にはいったんだ?」
だれにともなくきくそれに、サモンも腕をくみ、それはわたしたち大臣もわからぬ、と眉をよせた。
「コウセンが前にケイテキの記録をしらべてみたが、なんの問題もなかったらしい」
サモンのこたえにスザクが、じゃなきゃ将軍になんざなれねえだろ、と指摘する。
そこでコウドがぐっと喉をつまらすような音をもらした。
どうした?と声をかけたセイテツは、痛いのをこらえているような顔で見返され、とまどう。




