《ウツロ》
「 《 なにをいっている。ケイテキ、おまえになどなにができる?ただのウツワでしかないおまえが、このおれになにかしかけようというのか?あのコウセンの術も、キシンというものの術も、しょせん、いまここにおれを足止めしただけ。《この世》には時があってそれはずっと動いているが、その『時』が経てばこんな術、いつかは弱まり解けるのだ 》 」
上にのるケイテキの胸へさらに、握った刀を押しこみねじるケイテキに、おおいかぶさったケイテキが、黒と赤の血をとばし、せきこむようにわらいながら、コウセンさまあ!と四の宮の大臣をよんだ。
「 ひ ら け 」
コウセンの声だったが、きいたことのない冷たさでひびく。
セイテツの目に、二人のケイテキがよこたわるそばの砂地に、いきなり《黒い線》が引かれたようにみえた。
いや、《線》ではないのか
その《線》は一粒の砂も動かすことなく、くちをあけるようにゆっくりとひらき ―― 。
「 く え 」
申し訳ございません。ウツロについては『ゆらぐはなし』を。。。以下略




