身と魂で報(むく)う
ぱしん
なにかが弾けるような音がして、セイテツはわれにかえった。
たしかにケイテキは許せるような将軍ではなかったが、いま、ここに出てきているケイテキは、いままでのケイテキとは違う人間かもしれない。
「 テツ、言っとくがな、あれは、ケイテキだぜ」
スザクがそっけない声でささやいた。
「・・・わかってる」
この男なりの、セイテツをおもいやっての言葉だった。
むこうの地面で《おさえられるもの》と《おさえるもの》にわかれたケイテキのほうを顎で指し、ゆるくわらう男が指をひとつ立てた。
「そうだ。ありゃあ、どうみても、『西の将軍』だったケイテキだ。 二人にみえるが、そりゃサモンの《術》であの囲いの中だけでそうなった。実はまだ一つだからな。 さて、ケイテキよ、おまえがさっきじぶんで言ったように、下界の者たちを、ずいぶんときけんなめにあわせてきたな。 ―― 《罪》をみとめるか?」
「 コウセンさま、このケイテキ、 ―― 『西の将軍』として、せめて最後は 、・・・このおのれの身と魂をもって、《この世》に報いる所存にございます」
「 ―― わかった。 いいか、ケイテキ。おれはおまえに同情してるんじゃねえ。サモンだってそうだ。いまのお前にじゃあなく、ウツワにされちまった子どもころのおまえに、すこしだけ同情したんだ」
立てていた指を、つうっと横に動かした。




