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キシンも斬るか
コウセンが、セリをのせたシモベたちが移動してゆく空をさす。
「僕たちも、テングたちも、領分をとりもどしたってことだ。 ―― それとな、ミカドは、おまえのことは、おれたちにまかせるってよ」
「 《 っばかな!!アイツが この世 を選んだだと? 》」
サモンが髪をかきあげさらした額、にちゃりと音をたて縦に割れた肌からもりあがった赤い目玉が、ぎょろり、と顔にひびがいったケイテキをみた。
「 ―― そうか。その刀で、理由もなく、ずいぶんとたくさんのものを斬ってきたようだな。 それならどうだ? この世の『キシン』というものも、斬ってみたくないか?」
サモンがサモンらしくないわらいかたをして、ぞるり、と背中の極太の刀を抜く。
ずい、とケイテキに寄るのにあわせ、この場の『気』が揺れるのをセイテツは肌で感じ、両手をあわせてためていた『力』も光をなくして霧散する。




