星
「 ―― もしかして・・・」気をとられているうちに、空に《常世のくに》からの穴があいたのか、とセイテツが喉をならす。
「 いや、よくみてみろ」
スザクがさしたところに、ちいさく光るものがあった。
「ありゃあ・・・星か?」
セイテツが驚いたとき、黒い雲が晴れるようにわれ、たくさんの星が瞬きだした。
その星明りの中に、とびまわる僕たちの姿があり、ひとつから、女の高い声がひびいた。
「愚か者よ!天に穴などあいておらぬわ!きさまが逃げてきた《常世のくに》とつながる穴など、もうこの世にはひとつも残っておらぬぞ!」
「セリ、あぶないから座って」
どうやらシモベにのったセリが、よどんでいた空に、扇で風のとおりみちをつくっているらしい。あとはまかせろ、と女のこえがたくましく言い切ったあとに、シモベのひとつから影が落ち、岩が落ちたような音をたててコウセンのよこにサモンが立った。
すらりと立ったその背には、不似合いなほど極太の刀を負っている。
「《常世のくに》からきたモノは、剣をつかうと帝からきいたが・・・」
ケイテキだったものがつかむ刀をみたサモンは、その刀はおまえが持っていたのか、とかなしそうな顔をした。




