表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとぎばなし ― ここまで ―  作者: ぽすしち
ケイテキの中身

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/146

ケイテキ出(い)ずる


 「 ―― あ、いつ・・・」

 

 セイテツは砂山が盛り上がったところから人間の頭がつきだし、まるで砂から生まれたように、うつむいた男がゆっくり現れるのを目にした。



   ケイテキだ



 白地に金の刺繍がはいった着物を腰ひもだけでゆわき、素足に草履、肩ほどの髪はコウセンと同じようにぼさぼさ。だが、髭ものびていない顔は色つやもよく、片手にはスザクのものよりすこし短いが、立派な刀の鞘をつかんでいる。



 砂を落とすように頭をふると、コウセンをみて、にっとわらった。


「『どうか』、ときかれれば、まあ、砂責めとは、あまりいいものとは、いえぬなあ。 コウセンさまよ」



「そうか?てっきりこういうのが好みかとおもってたんだがな。 なにしろ、おまえ、《禁術》とかが好きでしょうがないみたいだしよぉ」



「たまたま、必要だとおもう術が《禁術》とよばれるたぐいなだけ。そもそも、 ―― おれの道理がここで通じるわけもなし」


 ケイテキが両手で刀をもち、す、と鞘をひきぬき捨てた。



「 ―― ずいぶんと、いい刀を持ってるんだな?」

 コウセンが目をすがめる。



「まあなあ。なにしろ、《この世》にわたってきてからながいので。このような刀にめぐりあう機会もやってくる」


「なるほどな。人間のあいだをわたるのに必要なものを先にそろえたのか」


 唾をはくようにコウセンがきくのに、片手で刀をかまえたケイテキがわらう。


「 《この世》をわたるのに必要だったのは、武器、金、力だとすぐに理解できたわ。他人を信じるなどというものがいちばんいらぬものなのに、人間どもは、いつもそれをふりかざす」



「ではおまえに、『裏切る』ということの意味は理解できまいな」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ