つなぐため
「 ―― ってことはよ、おれたちが斬ったり潰せたりできんのも、そこまでってことだ。みてみろよ。アイツの頭のほうはまだ《この世》に定まってねえから 上で 《常世のくに》とつながろうとしてるんだ」
だから天をあおいだままなんだろう、とつけたした。
灰色だった空に、いつの間にかうずまくような黒い雲がどこからかながれはじめている。
「だが、さっきテングたちで空に囲いをつくっただろう?」
「アイツをひきだすのに一回おろしたし、だいぶ緩んでるだろ。まあ、アレをここに引き出したところでテングたちも『力』をだしつくしたはずなのに、おれたちが相手ができるようにヨクサが身体を喰わすまでして帰ったんだ。 あとは、 ―― おれたちがやらねえとな」
ああそうなのか、とセイテツは頭をかく。
「どうやらおれはまだ、覚悟がたりなかったらしい」
自分にいいきかせ、両手に『力』をためはじめる。
天をあおぐ《ケイテキ》が、くちを大きくあけはじめた。
「《土釜》だって平気で喰う男だからな」囲いを喰いやぶるかもしれねえな、と冗談などいわない坊主がわらって背にある刀をひきだし、いくぞ、とはしりだす。
セイテツは足首をかかとのほうから狙うスザクより先に足首を凍らせ、膝の皿に氷塊をぶつけてみた。人間でいえば弱い場所だが、やはりバケモノは関係ないかとおもったのだが、膝は氷塊を受けてつぶれたところがとびちってきえた。




