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おとぎばなし ― ここまで ―  作者: ぽすしち
ケイテキの中身

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120/146

ケイテキ



   「 ・・・け、《ケイテキ》だ・・・」


 セイテツはその黒からでてきた黒い《バケモノ》をみていった。




 それは、たしかに城三つ分になろうかという大きさで、先にあった脚の膝と膝のあいだに、すべりこむようにすんなりと、巨大な身体をあらわした。

 そのカタチは人間のかたちをして、顔はケイテキのものだが、目は黒い穴のようで、あいた口の中もただ黒い。しかもよくみれば《黒い肌》とみえた身体の表面は、まるで《常世のくに》との境であるように、雲か靄のようなものがわきあがり、渦巻きながらできている。



「あれじゃまだ、カタチが定まってねえから動けねえんだろうが、逆にいえば、おれたちの《術》も、まだアレにはきかねえだろうな」

 スザクが腕をくんで、セイテツに言うが、いやいまのうちに、とセイテツは考えた。

「とりあえず、脚はもうかたまっているんだから・・・」


 先に出て黒い肌をもつように固まっていたケイテキの脚の表面に、とつぜんぼつぼつと《しこり》のようなものがあちこちに浮き出し始めた。


 ありゃなんだ?とセイテツがスザクにきくまえに、浮き出たそれらが人の顔になり、目と口になるところをぽかりと開けると、ひゅうひゅうと風のような音をだしはじめた。


「・・・いや・・・なんか・・・しゃべってるのか?」




   『   か  えせ   かえ  せ  』

       『  かえ  せ  か  え せ   』



 浮き出たそれらの顔をみていると、どうやら子どもから若い男までのようで、黒くひらいた口が、風のような弱い声で同じ言葉を出しつづける。

 セイテツは顔をしかめた。

 元はホムラだった蛇から、こどもだったころのホムラの魂がとれ、さいごにケイテキへ、父と母をかえせ、と言ったのを思い出す。




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