出現
『 よいか
これは 黒ではない 』
景色がはがれおちた黒い間から、人間の男の声がひびいた。
『 天はただ、いつも蒼くあるだけだ 』
また、景色がはがれる。
『 陽が消えれば、蒼が増す 』
景色がはがれ、黒がひろがる。
『 増した蒼が、重なりすぎておもくなり、こうして黒くみえるのだ
見ろ 』
黒から、にゅう、と人間のかたちの手がつきでる。
『 闇 は、なにかを隠すのではない
本来の姿を浮かび上がらせるのが 闇 なのだ 』
つきだされた大きな手の指が、なにかを掴むようにまげられた。
『 だからおれは
――― 惑わされぬ 』
指のまげられた手は拳となって、残りの景色をすべて打ち砕いた。
このシリーズの『鬼哭』をコピペです。。。




