腹喰う瘤
流血残虐表現あり。ご注意を
だが、セイテツが落とした氷塊では《黒い脚》は、凍らず、つぶれもせず、《脚》から伸びてうごめくヨクサの翼を食いちぎった《瘤状のくち》が、スザクの腕の中でたおれたままのヨクサの腹に、くらいつきはなれない。
女のひくいうめきがもれ、《瘤》は腹のなかへともぐりこむ。ヨクサの口からは、血があふれだした。
「・・・おまえら、気をぬいたな?」
うらめしげにスザクをみあげる女に、坊主は首をかきながら、そうかもな、とのんきにうなずく。
「どういうモンがでてくるか、ようすをみようとしたんでな」
「そのせいで、われはこうして腹を喰われておるぞ。 スザク、この貸しは大きいぞ」
げほっ、と血をはきながら女はすごむ。
「はあ?てめえがタンニを眠らせてまで、ことをはこんだからだろ」
ヨクサを座るように地面において離れるた坊主は、背から刀をひきぬいた。
セイテツが腹の中身を喰われ続けるヨクサを助けようと両手をあわせるまえに、その刀を水平にかまえなおしたスザクは、腹を喰われる女から測るように立ち位置をなおし、いっきにヨクサの首にむけてはらった。
血をふいた首がとぶ。




