天宮と下界の関係
「さあ、それはなんとも。 ―― ほら、ぼくらにはぼくらの理があるように、あいつらにはあいつらの理があるんだろうから、なにもいえないね」
「いやいや、そういう問題かあ?だって、それならひょっとして、この世をあいつらに乗っ取られることも・・・いや、まてよ、最初から、帝にのっとられてるか・・・」
セイテツがうなるようにだまりこむと、そりゃねえだろ、とスザクが異をとなえる。
「なにも、この世がアレにのっとられてるわけじゃねえだろが。おれたちを好き勝手つかってるのは確かだが、おれたちの他には、どうだよ?」
東西南北や、色街など、日々の生活をこなす下界の者たちにとって、帝はそれほど関係はない。
「政をするのはそれぞれの将軍たちだ。それにアレはかかわらねえ。大臣たちが三月先のことをみたとしても、それを先にどうにかしようともしねえ。ってことは、ふつうに暮らしてる下のモンにとってみれば、帝なんて『いない』もおなじだ」
「ああ、そうか・・・」
いわれてみれば、そうかもしれない。
「だが、どうしようもねえときには、なにかと大臣たちがでばってくるんで、そういうときは天宮があって助かってる、って思ってるだろ」
「そうだな。コウセンなんか、商売人たちをしきってるようなもんだし、ヒョウセツとセリちゃんのつくった薬なんかも、下界に売ってて、値は張るが、助かってる者は多いだろうな」




