表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとぎばなし ― ここまで ―  作者: ぽすしち
テング

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/146

丸い瘤は六つ


『孵化』ねえ、と首をまげたセイテツが、それで?とスザクをみた。


「あの、『孵化』しようとしてるのが、おれたちの追ってるケイテキの中身なのか?」

「匂いはそれっぽいな。―― ワギョクのやつが、じぶんを喰った妖物に呪いがかかるよう術をほどこしておいたらしくて、いまはそれのせいで、まだよく動けねえんだろう」


 そのまま孵化しなくていいのになあ、とセイテツがいったとき、ぼごっ、と音をたてて、もがいていた丸いものが一気に土のなかからとびだし、地響きとはちがう響く音を、それがだした。



「 『頭』・・・だと思ったんだけど、あれって、あたまじゃないのか・・・」

 空気をゆらす音を響き渡らせるその頭のような丸いものには、てっぺんに丸く赤い穴があき、その穴を尖った牙がふちどるのがみえた。


 くち、か、とスザクがあきれたようにみあげると、その『くち』がこぶのようにゆるく丸い身をふるわせてのびあがった。すると土の中から、それとつながった別の新しい『くち』をだし、それがまた、と、つぎつぎにでてきた丸い瘤状の『くち』は、身を寄せ合うように六つもでた。



 その『くち』が、空に向け、それぞれに高さの異なる音をだし、空をゆする。



「おのれ、空をゆすって《囲い》を切ろうとしておるのか」

 こざかしい、と怒った顔でヨクサがとびたった。 あとを追うタンニが、いまいちど《さかい》をつくれ、とセイテツに命じる。


「簡単にいってくれるよなあ」

 こまったようにわらうセイテツは、それでも、両手をあわせて『力』をためはじめた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ