※※ ― 突然
!ご注意を! 残虐、流血のいやな場面からはじまります。 『おとぎばなし』シリーズとして続けている血生臭いBL風味のはなしのようやく最後となる部分です。 設定ゆるふわのため、すべて薄目でごらんください。
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顔にあたってくるそれが、あたたかかった。
あけた口にはいったそれの味を感じずにすんだのは、すでに同じものが口の中にあったからだった。
「 にげろおっ! 」
むこうで刀をかまえる男がさけんだ。
すぐそこには、じぶんをかばおうとして首をきられた母が倒れている。とばされた首は、むこうに転がったが、かけよったからだは止まらず、きりくちから血をとばすそれをうけとめたじぶんの顔に、抱えたからだがふきだす、母の血が、かかったのだ。
なぐられたせいで、すでに口の中はじぶんの血があふれていて そこにはいった母の血の味などわからなかったが悲鳴とも叫びともつかないおかしな声とともにそれを外へだしつづけこのまますべてをはきだしてからだのそとへそとへそとへ
「 はやくっ!! にげろ! 」
もう一度おなじ、父のこえがして我にかえった。
大きく動きた父の一振りで、相手のからだが割れるのがみえた。
だが、つぎの瞬間、刀をてにした父が、
―― 四方に飛び散った。
顔にはまた、あたたかい血がかかり、足もとに父の破片が落ち、赤くなった視界に、
――― 黒い影が立っていた。
『 おれの ウツワに なれ 』
人の言葉をはなす、ヒトではないものが、そういった。
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