女神に言われて魔王になってでもTS転生で兄は勇者。あはははは
ゴオオオオオオオオオオオ
そんな音が聞こえた。なんだろうと思ったら、トラックが、眼下に迫っていた。怖い、なんて、思う暇はなかった。あっという間に飛ばされて、俺は、死んだ。
あれ?ここは…どこだ?ぼんやりとした頭を上げると、そこには、真っ白な空間が広がっていた。ただ1つ、扉が浮いていて、それ以外は何もない。ぼーっとその扉を見つめていると、ガチャりと音が鳴って、急にその扉が開いた。
「こんにちは。黒瀬 拓巳さん。私は女神です。」
そこには、美しい女性が立っていた。絹のような銀髪に青い瞳、まさに、女神のようだ。
「こ、こんにちはっ」
引き込まれそうな瞳に見つめられ、戸惑ってしまう。
しかしその後の言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
「人は、死んだら生き返ります。それは知っていますね?貴方は、先程トラックに轢かれ、死にました。なので、生まれ変わることになります。ただし、貴方が生まれ変わるのは、あなたのいた世界とは違う場所。そして、貴方には、魔王になってもらいます。」
しらっとした表情で、信じられないことを言う女神。
「え…!?どどどどっどういうことですか?」
「言った通りです。そのままの意味です。魔王になってください。」
分からない。ちょっと、よく分からない。え?
「では、手続きを始めま…」
「待って!え?どういうこと?意味がわかんないんだけど」
俺がそう言うと、女神はため息をついた。
「あのですね、そういうこと言われても困るんですよ。決定事項なので。貴方は魔王になって、世界を征服してくれればいいんです。それだけのことです。」
…え?これ俺が間違ってる?何?ここで快諾するのが正解なの?
「えーと、ちょっと、整理させて?まず、なんで俺は魔王になるの?そして、なんで世界を征服するの?」
俺は女神の目を見つめた。女神は、諦めたように目を伏せる。
「最初の質問は、少し難しいですね…強いて言うならば、魔王に必要な、やる気、根気、元気があるから、ですかね。2番目の質問は、そうしないと神たちが退屈するからです。これでいいですか?」
「……これ絶対ふざけてるでしょ?」
「ふざけてません。本気です。」
「…まあ、答えてくれないなら仕方ない。どういう力があるのか、どんな境遇に生まれるのか、どんな容姿なのか、詳細を教えてくれ。」
「まあ、聞き分けの良い子ですね。好きですよ、そういうの。」
女神はニコッと笑った。でも、ちらっと影が見える、少し怖い笑みだ。
「では、説明しますね?貴方は、人間として生を受けます。物凄く裕福な伯爵令嬢で、魔力も多量にもっている家系で、兄は勇者となります。」
…ん?
「ちょっと待って脳の処理が追いつかない」
「死んでるので脳はないですよ」
「そういうのいいから!取り敢えず、兄が勇者とか、人間が魔王になるとか、特に、俺が女だとか!そういうことを説明して欲しいんだけど」
「…説明とかめんどくさいので嫌ですね。ていうか、貴方は女なのでしょう?令嬢で問題ないじゃないですか。」
「え?俺、女に見えんの?男だよ?」
「…………実は私は、下民の顔の判別が出来ません。拓巳というのは女子に付けられる名前だと伺っていたので、女だと判断致しました。」
「違うよ!全然違う!なんで!拓巳は大体の場合男の名前だし!」
「…そうなんですね。了解です。でも、もうなってしまったものは変えられないので、来世は女ですね。」
し、信じられない…。魔王ならワンチャンハーレムありかなとかちょっと期待してたのに!!まだ息子も使ったことないのに!
「話の続きですが、色々あって、貴方は魔王になります。その経過は割とどうでもいいです。魔王になる時がきたら、こちらから干渉して魔王にさせますし、精神が安定する7歳の時、この記憶を思い出せるようにしますから。」
「なるほど…じゃあ、その運命が変わることはないってわけだ。」
「そうですね。他にも、ターニングポイントがあるので、その部分は干渉させていただきます。」
「ふーん。俺は魔法とか使えるの?」
「はい。闇の魔法を使います。貴方は禁じられた魔法に興味を持ち、魔王の時はその魔法を使ったりもします。」
「…なんか決められてるみたいでやだな。」
「なら、私達の予想を裏切るようなとんでもないことをやらかしてください。面白そうなので。」
この人生は、たぶん、神々の暇つぶしに過ぎないのだろうな。薄れゆく意識の中で、そんなことを思った。
初投稿です!
読んでくださり本当にありがとうございます!!
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ちなみに自分がギャグ漫画とか大好きなので面白要素入れてきたいと思ってます笑