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幸せの作り方

作者: 呉宮晶華

上司からの絶え間ない仕事で疲れていた私の目と反比例するように(5連休の初日せいか)輝いて見える町で、道行く人だかりのなかに付き合って数年の彼氏と職場の後輩が手をつないで歩いている光景は私の思考を止まらせるには十分だったらしい。


辺鄙な田舎から進学のため上京し卒業後は東京で就職という平々凡々の日々を送っている私だが、恋愛だけは平々凡々に出来ないらしい。

あの後二人を問い詰める等の疲れることはせず、臭い物に蓋をするようにスルーをして帰路に着いた。帰宅後もいつもと変わらないルーティーンをし眠る前に、朝起きたら魔法が使えるか世界が滅亡してます様にとお祈りをして瞼を閉じた。


出社2時間前のアラームで目を覚ます。

朝起きたら私は朝が来てしまった事に絶望して、5分程神様に対して罵詈雑言を吐き。

トイレに行って手を洗い歯磨きをした後シャワーを浴びてボディークリーム等をして朝食を食べて最後にメイク。

「あれ?私どこまでやったっ?・・・・ドレッサーの前ってことはメイクか」

低血圧で朝はぼんやりしている私だが、昨日見た光景を引きずっているらしい。正直言って自分のことながらびっくりだ、自分は情が薄いタイプだと思っていたのに一緒に過ごした年月は大きいか・・。


ドレッサーの上にモノは置いていないが、引き出しの中や両端のチェストには私がコスメ好きということもあり、なかなかの量のコスメをしまっている。

「酷い顔だなぁ・・・泣いたりしてないんだけど。今日は下地、高いの使うか」

下地を仕込みながら彼との記憶を思い出す。

彼と知り合ったきっかけは、二つの会社が協力して行うプロジェクトがあり。うちの協力相手のチームに彼がいた。私はプロジェクトの補佐を任せて貰い、彼も同じ様に補佐だったので距離が縮まるのに時間は掛からなかった。

会社は違えど同じプロジェクトを進めて行くと彼の噂は耳にするようになる、仕事の評判はいいが恋愛や私生活の方は悪評ばかりだった。だけど当時の自分が欲しかった言葉をくれたのが彼だった、付き合う決めてはそこだけだった。


「アイシャドウ何にしよう?寒色系にしよっ」

自分の性格の悪さを思いだし朝から傷ついたが、これが自分だしと開き直る事にした。彼に対して不誠実だったかもしれないが、それなりにお返しはしてきたし不誠実じゃなきゃ悪評のある彼と付き合うこともなかっただろうし。遅かれ早かれ別れるんだし仕方ない。

別れたあと後輩と付き合うんだろうか・・・流石に気まずいな転職も視野に入れよう。

グロスを上に重ねてメイクが終わり、鏡で最終チェックをする。

「今日の顔の金額3万くらい掛かったのかな?まぁまぁだな」

馬鹿みたいだなと思う時もある。顔にお金を掛けるんじゃなく内面を磨けと自分でも思う。

でも内面を磨いたところで叶わないのだ輝いている人には、そこには私が持っていない自信や帰れる場所そして幸せを受け取れる強さがある。

メイクでそれら全てを作れるわけではないが、かりそめの安心は手に入る。


朝のメイクが10分で終わる後輩のあの子にはわからないんだろうなぁ。

また今日が始まる。











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